八海山(はっかいさん)
・標高:1,778m
・所在地: 新潟県南魚沼市
・9合目~山頂手前にかけては荒々しい岩稜帯で、八つの峰と鎖場が連続する
・越後駒ヶ岳、中ノ岳と合わせて「越後三山」と呼ばれている
・例年登山適期は6月~11月上旬
「八海山」は日本酒の銘柄で名前を知っている人も多いですが、その名称の由来はこの山から来ています。酒の仕込み水は八海山の伏流水を使用しています。
「八海山ロープウェー」を利用し4合目までアクセスできるため、紅葉時季の休日には多くの人で賑わいます。今回は紅葉が始まりかけた平日にロープウェーを利用し、スリリングな八ツ峰を渡ってきました。
※ロープウェーを利用しないで登るコースもいくつかありますが、初めて行く人はロープウェー利用をおススメします。
駐車場情報(八海山ロープウェー)
八海山ロープウェー山麓駅駐車場(第2駐車場)に車をとめます。ここが満車の場合は、下のベースキャンプにある第1駐車場に駐車します。合計で800台駐車可能とのことです。
▼公共交通機関でのアクセス
JR六日町駅からバスが出ています。詳細は下記のサイトが分かりやすいです。
アクセス|八海山ロープウェー | プリンスホテルズ&リゾーツ
この日のコース
ロープウェー山麓駅 ⇒ ロープウェー山頂駅 ⇒ 女人堂 ⇒ 薬師岳 ⇒ 千本檜小屋 ⇒ 八ツ峰 ⇒ 大日岳 ⇒ 八ツ峰迂回路 ⇒ 千本檜小屋 ⇒ 薬師岳 ⇒ 女人堂 ⇒ ロープウェー山頂駅 ⇒ ロープウェー山麓駅
往復距離:8.5km 累積標高差:(上り)1,050m(下り)1,100m
標準コースタイムは、往路3時間50分、復路3時間15分です。
※往復距離と累積標高差は概測
ロープウェー ⇒ 女人堂 ⇒ 千本檜小屋
まずは4合目まで手軽にロープウェー利用です(お財布的には手軽ではないですが...)。この日は仕事の都合で朝早く来ることができず、ロープウェーに乗る頃には観光客の人ばかりでした。一度にMax80人乗車可能らしいですが、平日だったので空いていました。
ぐんぐん標高を上げて行きます。標高差770mを約7分で上がります。車内で添乗員さんが周辺の山々や紅葉の時季などを解説してくれます。ちなみに八海山の紅葉は、例年10月中旬~11月上旬が見頃で、ロープウェーも11月上旬まで営業しています。
ロープウェー山頂駅に着きました。とても見晴らしの良い場所があり、テーブルとチェアもあります。
時間もあまり余裕が無いので、さっそく登山開始です!山頂駅の真ん前にあるこの鳥居をくぐって登り始めます(鳥居をくぐらない近道もありますが、大して変わりません)。
少し登ると避難小屋があります。左へ行くと観光向けの展望台があります。登山道は右へ。この場所の標高は「1165m いいろうご」らしいです(笑)
霊峰だけあって、様々な場所に神が祀られています。
登山道はこちらへ。
女人堂までは、たまに階段やアップダウンがあるものの、全体的になだらかな感じ。
大倉登山道との合流地点である分岐です。真っ直ぐ道なりに進みます。※標識があるので確認しながら間違えないように進みましょう。
「女人堂まであと少し」と書いてある標識があります。ここから先は勾配が上がってきます。
「胎内くぐり」はテープが張られていて立ち入り禁止になっていました。
そして再び「女人堂まであと少し」の標識があります。「え~さっきも、もう少しって言ったじゃーん」って思います(笑)
グイグイ登ります。
「女人堂」に到着です。昔はこの先は女人禁制だったそうです。
広い場所と避難小屋、ベンチがあるので休憩していきましょう。女人堂の避難小屋はきれいに整備されていて、バイオトイレもあります。
女人堂からちょっと進むと、祓川の水場があります。この日は久々に夏日で暑かったので、水がとても冷たくて気持ち良かったです。
視界が開け、草原が広がっている場所があります。草紅葉がきれいでした。
7合目。麓の景色も良く見えるポイントです。
薬師岳山頂手前でちょっと長い鎖場が現れます。
坂はそれほど急ではありませんが、足場が悪く、濡れて滑ることがあるので気をつけましょう。
鎖場を抜けてしばらく歩くと薬師岳山頂に到着です。
ここで休憩してもいいですが、もう目の前に千本檜小屋が見えているのであそこまで一気に行きます。
「千本檜小屋」に到着。シーズン中(例年7月上旬~10月下旬)は管理人さんが常駐しています。バッジやTシャツ、飲料などを買うことができます(ただし売り切れの場合あり)。予約をすれば宿泊も可能です。
屏風道コースもここで合流します。※屏風道コースは上級者向けの登り専用です。
八ツ峰に行く前に、小屋の前で景色を眺めながら休憩と栄養補給。
※この先の八ツ峰は急峻な岩場と鎖場が連続しています。体力があまりない人や岩場・鎖場に慣れていない人はここまでにしましょう。
千本檜小屋 ⇒(八ツ峰)⇒ 大日岳
荷物はなるべく少ない方が良いので、貴重品や水分など必要最低限のものだけ持って、大きなバックパックは小屋前にデポしていきましょう。ヘルメットとグローブを装着し、八ツ峰へ向かいます。八海山はヘルメットを着用していない人が割と多いですが、八ツ峰に登るのであれば安全のために持って行きましょう。
「地蔵岳」は右の方から巻いて取り付く感じです。ここの分岐で左へ登ります。真っ直ぐの道は、下山用の道です。
※標識があるのですが、擦れていて読み取れないのでご注意ください
ここを登って尾根上に出たら左が「地蔵岳」、右が「不動岳」です。
まずは左の「地蔵岳」へ。
最初の「地蔵岳」。お地蔵さんが並んでいます。
地蔵岳から見た千本檜小屋。その先に南魚沼の景色。
少し戻って、すぐ先の「不動岳」へ向かいます。
ここは足場がしっかりしているので登りやすかったです。
2つ目の「不動岳」です。
ここまでは割と簡単な鎖場ですが、この先は難易度がどんどん上がってきます。また、5つ目の峰を超えないとエスケープルートが無いので、ここで引き返す人も多いです。
では先へ進みます。鎖を目印に、足場を確認しながら慎重に下ります。
3つ目の「七曜岳」には標柱らしきものが見当たりませんが、この「五大岳」と刻まれた柱のある辺りが「七曜岳」らしいです。友人の話なので、本当かどうか分かりません(笑)
次の「白河岳」へ向かいます。
鎖で下りた先にまたすぐ鎖場。
その先は鎖とわずかな足場を頼りにトラバース。景色が良いのですが、足元をしっかり見ながら歩きましょう。
4つ目の「白河岳」。他の峰より広めで、見晴らしも良いので休憩するには良い場所です。
景色が素晴らしい。中ノ岳や越後駒ヶ岳も良く見えます。
次の釈迦岳へ向かいます。
5つ目の「釈迦岳」に到着!と思ったら「白河岳」の標柱がある謎。
ロープウェー駅に掲示されている図では、「白河岳」の次は「釈迦岳(白河岳)」と書かれていて、なおさら謎(笑)
釈迦岳を下りると、
鐘と分岐があって、迂回路へエスケープできます。ここまでで疲労困憊、鎖場はもうお腹いっぱいという人は、迂回路で千本檜小屋へ戻りましょう。
「摩利支岳」へ向かいます。
6つ目の「摩利支岳」に到着。
登り下りを繰り返して、段々恐怖心が麻痺してきます。でも油断すると危険が増すので、慎重に行きます。
最後の「剣ヶ峰」と「大日岳」へ向かいます。
7つ目の「剣ヶ峰」には登らず巻いて行きます。
大日岳への登りは垂直に近いハシゴと鎖場。
8つ目の「大日岳」に到着です!
ちなみにここが八海山の山頂と表記されている文献がありますが、八海山の標高1,778mはこの先の小高い「入道岳」の標高です。
では最後の鎖場を下ります。大日岳からの下りが最も緊張します。
一つ目の鎖を下りてきたところ。体感的にほぼ垂直に下りるので、足元が見えにくいんですよね。それと、左右が切れ落ちているので、落ちたら助からんかなという感じ。
2つ目の鎖場下降。初めて来たときは、下りるのが怖くて仕方なかったです。
下りた先から振り返った写真。結局、何度来ても怖かったです(今回で三度目)。
最高点の「入道岳」は、面倒くさかったので今回は行きませんでした。入道岳への道は、八ツ峰のような危険箇所はないので、山頂に登りたい人はぜひ行ってみましょう。ここから往復するには標準コースタイムで1時間程度です。
大日岳 ⇒(八ツ峰迂回路)⇒ ロープウェー
最後の「大日岳」から鎖場を下りた先に、分岐があります。「う回路 千本檜小屋」と書かれた方へ進みます。
”迂回路”という優しげな言葉と裏腹に、割と急な坂をどんどん下って行きます。
そして、細い道で八ツ峰をトラバースしていきます。
「新開道コース」との分岐あり。
見上げると青空と紅葉と八ツ峰。歩きながら見上げると踏み外して落っこちてしまうかもしれないので、立ち止まって見上げましょう。
釈迦岳からのエスケープルートと合流する地点があります。
落石注意の看板があちこちにあります。こんなところで落石にあってもなかなか避けようがありませんが、用心しましょう。
迂回路も鎖場が何か所かあります。
景色はとても良いのですが、足元が気になってあまり落ち着いて楽しめません(笑)
ようやく千本檜小屋が見えました。迂回路もけっこう疲れます。
千本檜小屋に戻ってきました。疲れたのでちょっとだけ休憩。
時間が遅めだったので、小屋から先はちょっと急ぎめに下山。
女人堂。
大崎口コースとの分岐。
避難小屋。
ロープウェー山頂駅に戻ってきました!靴の洗い場があるので、泥を落としていきましょう。その後、ロープウェーで楽々下山。
八海山の感想
八海山はロープウェーを利用して4合目までアクセスできますし、その先も9合目の千本檜小屋まではそれほど厳しく無いので、初心者の人でも十分登れます。ただし、八ツ峰は岩場と鎖場の経験がある程度無いと厳しいので、中級者以上向けです。自信がある人は、ぜひチャレンジしてみてください。
八海山は例年10月中旬~11月上旬にかけて紅葉がきれいです。八ツ峰まで行かなくても十分楽しめる山なので、ご自身の力量に合わせた所までぜひ訪れてみてください。
下山後に立ち寄った温泉
八海山からちょっと離れているのですが、よく寄る温泉は「見晴らしの湯 こまみ」。越後三山を眺めながら浸かる露天風呂が好きです。
この日使用した主な道具
BLACKDIAMOND(ブラックダイヤモンド) ハーフドーム
軽量で装着しやすいヘルメットです。落石や滑落の危険性が高い山にはヘルメットを持っていきましょう。
BLACKDIAMOND(ブラックダイヤモンド) クラッググローブ
グローブをしていると手を保護できるし、滑り止めが効いて鎖やロープを握りやすいです。
サロモン TRAIL20
超軽量バックパックです。荷物の少ない日帰りトレッキングの場合やランにも使えます。
東京ベル 森の鈴(BEAR BELL) 消音機能付
簡単にONとOFFを切り替えられ、カラビナもついているので便利です。音はガチャガチャしておらず、余韻の残る澄んだ音色です。