至仏山(しぶつさん)
・標高:2,228m
・所在地:群馬県利根郡、みなかみ町
・日本百名山、花の百名山
・尾瀬国立公園に属する
・4月中旬~GW期に限定で時計回りの周回ができる
「至仏山」は群馬県の北東部に位置する「日本百名山」で、「燧ケ岳」と共に尾瀬を代表する名峰です。
そんな「至仏山」ですが、基本的に7月から10月までが登山期間です。ところが例年4月下旬~GWまでの約2週間だけ残雪期登山が楽しめます(GW後~6月末は植生保護のため閉山期間)。
しかもグリーンシーズンでは登り専用の『山ノ鼻~至仏山山頂』コースが、この期間限定で下山利用できるということで毎年沢山の人が訪れます。
今年2022年は4月22日(金)~5月6日(金)が残雪期登山期間ということで、終盤に何とか行くことができました。
駐車場情報
片品村戸倉の「尾瀬第2駐車場」に車を停めました。当初は下方の「第1駐車場」を利用するつもりでしたが、朝7時時点で既に満車のため第2に誘導。どちらも駐車料金は1,000円/日です(2022年時点)。トイレと飲料自販機も有ります。
※公共交通機関でのアクセスは、こちらのサイトに情報がまとまっていて分かりやすいです↓
駐車場の券売所でバス・タクシー共通乗車券を購入。片道1,000円(2022年時点)。帰りの乗車券はここでは購入できず、鳩待峠で購入します。
鳩待峠をピストンするバスが次から次へとやってくるので、ほとんど待ち時間が無かったです。
この右側に写っている乗合バスで約20分。意外と早く「鳩待峠駐車場」に到着。
ちなみにここ「鳩待峠駐車場」は超争奪戦です。18時~翌6時まで閉鎖される「津奈木ゲート」前に車で列を作り、朝6時にゲートが開くのを待って駐車場へ向かいます。前日入りしている車もあるので、日帰りの場合は駐車可能枠よりかなり少ない台数しか駐車できないようです。バス代は節約できますが、駐車料金は2,500円/日と戸倉の駐車場より割高。
また、この時期でも夜には雪が降ることもあるので、「鳩待峠駐車場」を利用する場合はスタッドレスタイヤ装着か、タイヤチェーン携行で向かいましょう。
ということで、諸々考えると戸倉の第1・第2駐車場を利用するのがおススメです。
この日のコース
鳩待峠 ⇒ 小至仏山 ⇒ 至仏山山頂 ⇒ 山ノ鼻 ⇒ 鳩待峠
往復(周回)距離:10.5km 累積標高差:(上り)880m(下り)880m
標準コースタイムは、往路2時間40分、復路2時間30分です。
※往復距離と累積標高差は概測
※至仏山山頂~山ノ鼻への下りは期間限定コースのため概算
鳩待峠 ⇒ 小至仏山
乗合バスから降りて少し歩いた先にある広い「鳩待峠休憩所」前で登山準備。
トイレは休憩所建物の裏にあります。
「遥かな尾瀬~遠い空~」って中学生の頃だったかに合唱で歌った記憶がありますが、その頃は尾瀬がどこにあるのか、どんな所かも知らないで歌っていました(笑)
雪面に上がってアイゼンを履いて準備完了。念のためワカンとトレッキングポールも持って来ていましたが、この日は踏み抜くような箇所が全く無かったので使用しませんでした。
「尾瀬保護財団」のWebサイトにも掲載されていますが、残雪期登山の注意書きが掲示されています。
序盤は緩やかな坂からスタート。
快晴の中、気持ちの良い雪道歩きです。
序盤は広い樹林帯で好きな所を歩いて行く感じなので混雑しません。
ところが途中にある峰を巻いて行く道で渋滞発生。巻き道が終われば渋滞も解消します。
樹林帯を抜けて見晴らしの良いポイントに着きました。「小至仏山」とその奥に「至仏山」の山頂が見えます。
右手の方には「燧ケ岳」と「尾瀬ヶ原」が見えます。
ちょっとした急登を登ると左手に「悪沢岳」山頂がすぐそこに見えます。10分くらいで着くので、ピークハンターの人は寄ってみるのも良いでしょう。
南アルプスの「悪沢岳」にも登ってみたいなぁ。
ここから広大な雪原歩き。奥に見えるのは「小至仏山」。
左手には谷川連峰をはじめ、奥に火打・妙高、北アなども見えました。
「小至仏山」は手前が急登です。多くの人は右を巻いて行きます。
「小至仏山」山頂へ登る人と、右の巻き道を歩く人に分かれます。自分達は面倒くさいので巻いて行きました(笑)
写真では分かりにくいですが、細めの巻き道。
右手の景色は絶景ですが、足元がおろそかになると滑り落ちてしまう危険があります。風が強い日は特に注意が必要ですね。
小至仏山 ⇒ 至仏山山頂
「小至仏山」を通過すると、「至仏山」山頂までの稜線とそこを歩く人々の姿がはっきり見えて面白い。
景色を眺めながらのんびり登っていきます。
岩稜帯を抜けて山頂へ。
「至仏山」山頂に到着。雪が積もっているので夏期よりも山頂が広くなりますが、沢山の人で溢れていました。
記念撮影の長い列に並んで、山頂の標石もようやく撮影できました。標高2,228m。
山頂からは360°パノラマで絶景が眺められます。ただ、人が多過ぎて撮影する場所に苦労しました。
巻機山、ちょっと奥に妙高、
越後三山や平ヶ岳といった新潟の山もよく見えて嬉しい。
燧ヶ岳の左に会津駒ヶ岳なども。
何といっても一番の景色は、雪に覆われた広大な「尾瀬ヶ原」と、それを挟むようにそびえる「燧ケ岳」。上から見ると尾瀬ヶ原の広さがさらによく分かります。
至仏山山頂 ⇒ 山ノ鼻 ⇒ 鳩待峠
山頂で休憩した後、山ノ鼻へ向かっての時期限定下山ルートへ。
途中、雪融けして木製の階段が露出していました。アイゼンを外して下ります。脱ぎ履きしやすいチェーンスパイクも持って来れば良かったとちょっと後悔。
この景色をずっと眺めながら下れるのが最高です。
再び広大な雪原エリアへ。ここからヒップソリを楽しみながら一気に下って行きました。
ヒップソリで滑り降りた所で振り返った写真。レンズが雪で濡れてしまっています。いつもはヒップソリ、尻セードをする際はカメラをバックパックにしまうのですが、この日は浮かれてしまい忘れていました(笑)
ちなみにカメラはPeakDesignのキャプチャーでショルダーベルトに固定していることが多いです。
歩いて下っている人ももちろんいますが、ほとんどの人はヒップソリ持参で滑り降りていました。色んな雪山がありますが、自分の中では至仏山のこのコースが一番ヒップソリを楽しめる所です。スピード出し過ぎに注意しながら安全に楽しみましょう。
ちなみにスキーやボードの人たちは別のエリアを滑り降りるので、このポイントには登山者ばかり。
樹林帯に入り、尾瀬ヶ原へ。
尾瀬ヶ原に下りてきました。
山ノ鼻のキャンプ場には沢山のテント。いいなぁ。
「至仏山荘」はお風呂もある人気の宿泊山荘です(日帰り入浴はできません)。ここの前にはテーブルやベンチがあって休憩に良いポイントです。
きれいなトイレ棟もあります。
「山の鼻ビジターセンター」前を通りながら、鳩待峠方面へ。
山ノ鼻→鳩待峠への道はなだらかな道がほとんど。序盤はとてもなだらかで、鳩待峠に近づくにつれて上り坂になっていきます。
鳩待峠への後半の登り。地味に疲れました(笑)
「鳩待峠」に戻ってきました。トイレに寄って、帰りの乗り合いバス乗車券を購入します。
チケット売り場の横で「花豆ソフトクリーム」を購入。500円とちょっとお高いですが、とても美味しかったです。
この後、乗合バスで第2駐車場へ戻りました。おしまい。
残雪期の至仏山の感想
至仏山は豊富な高山植物を楽しめるグリーンシーズンがメインですが、時期限定でこんな残雪期登山も楽しめます。天気が良ければ夏期よりも眺望を楽しめますし、何といっても尾瀬ヶ原を眺めながら山ノ鼻へ下れるのが最大の魅力です。おまけにヒップソリを楽しむこともできます(ヒップソリはとても楽しいですが、事故に気をつけて安全に楽しみましょう)。
今シーズン(2022年)の残雪期登山期間は終了してしまったので、来年以降の参考になれば嬉しいです。
下山後に立ち寄った温泉
「道の駅かたしな」の近くにある「ほっこりの湯」を利用しました。あまり広くないですが、ほっこりする施設です。なお、至仏山や燧ケ岳、武尊山などの登山バッチも売っているので、買い忘れた人はここでも購入できます(笑)
この日持って行った主な道具
ペツル(PETZL) クランポン イルビス(IRVIS)
ペツルの10ポイント長爪クランポン(アイゼン)です。後ろコバがあるブーツに対応。クランポンのベイルを交換することで、前コバのあるブーツにも対応できます。
前後にコバの無いブーツの場合はこちら。
ブラックダイヤモンド(Black Diamond) アルパインゲイター
生地がしっかりしていて、少しぐらいアイゼンの爪が擦れても破れません。ベルクロだけでなくジッパーが付いているので、雪や水の侵入をしっかり防ぎます。ベルトの調節もしやすいです。
MAGIC MOUNTAIN 登山用 アルミわかん ラッセル2
シンプルなアルミフレームのワカンです。ワカンはスノーシュー程浮力はありませんが、軽量なのと小回りが利くので、急坂や細道の多い雪山登山に適しています。
SHOWA GLOVE TEMRES 02 winter ブラック
作業用グローブで実績のあるショーワグローブによるアウトドア防寒グローブ。安くて防寒性に優れています。雪の里山登山に最適です。「01 winter」にカフやストラップが付いてさらに便利になっています。
サーモス 山専用ステンレスボトル900ml
暖かい飲み物、冷たい飲み物を長時間保温できる最強の水筒。冬の登山では寒くてお湯を沸かすのも辛いときが多いので、この「山専ボトル」が大活躍します。