突然ですが皆さんは「ゆっくり山マイマイ」をご存じですか?
私はこのバッジがどういう物なのか、つい最近まで詳しく知りませんでした。
去年初めて見かけた時は、「あ、こういうバッジがあるんだ。面白いな。」程度の認識でした。でも先日登った山で再びこの”カタツムリ”バッジを着けている人を見かけ、何となく気になったので帰宅後にネットで調べてみました。
そこで初めて作成者の方やバッジが生まれた経緯、それに込められた思いを知ることになったのです。
山マイマイを作られた方とその経緯
「山マイマイ」のキャラクターを作られた方は「angelina」さん(ヤマレコのユーザーネーム)といって、登山が大好きな女性です。お母様の影響で登山が好きになり、山でご飯を作って食べたり、オカリナを奏でたりするのが好きで、お仕事がデザイナーということで山小屋のてぬぐいのデザインも手がけたこともあるそうです。
そんな「angelina」さんですが、ある日乳がんを宣告され、長く辛い闘病生活を過ごすことになります。
大変な闘病生活やリハビリテーションなどを経て、ようやく山に登れるようになるまでに至った「angelina」さん。でも、以前と同じように登ることが難しくなっていました。
体力が落ち、麻痺で満足に動かすことができない身体、薬の副作用にも苦しみます。
また、山で転倒したり、他者とぶつかったりすることへの不安も、健康な人と比べて相当大きなものがあるそうです。
術後ようやく大好きな山に行けたとき、今まで感じたことのない不安を感じました。人とすれ違うのが怖い、という不安です。
『手術箇所をぶつけたらどうしよう、急に誰かが走ってきて、避けられずに転んだらどうしよう…。』(出典:YAMA HACK)
登山ウェアを着てしまえば誰もが元気そうに見えるので、ゆっくり歩いていることを知らせる必要性があると感じたんです。」
自分と同じような思いをしている人が他にもいるかもしれない。道を譲る人も譲られる人も、気持ちよく歩ける環境を作りたい。そんな思いから、angelinaさんは山の殻を背負ったカタツムリ、「ゆっくり山マイマイ」のマークを考案しました。
(出典:YAMA HACK)
そんな思いから生まれたのが、この「ゆっくり山マイマイ」というカタツムリのキャラクター。ゆっくり歩く人の中には後ろめたさを感じている人も多く、そのため山に登りにくくなってしまっている状況があるとのこと。
このバッジをバックパックなどに着けることで、後ろの人へ「ゆっくり歩いています。お先にどうぞ」というメッセージを送ることができます。
「YAMA HACK」の記事に詳しく書いてあるので、ぜひ読んでみてください↓
山には様々な人が登っている
「YAMA HACK」の記事を読んで、ハッとしました。私は今まで”山に登る人は健康な人”と勝手に思い込んでいたのです。自分では常に周囲の人に気を使いながら登山をしているつもりでしたが、はたして相手から見た時どうだっただろうかと考えるとちょっと自信がありません。
ちなみに前の人を追い越す際は、次のことに注意しています。
・道幅が十分でない所では追い越さない
・追い越す前に必ず声をかける(無言で追い越さない)
・必要以上に急がない(相手にぶつかってしまう危険性があるため)
最近はランはしていませんが、それでもソロの時はついついハイペースになってしまうことがあるので、改めて気をつけようと思います。
「ゆっくり山マイマイ」のWebサイトにはこのようなことも書かれています。
全ての人が万全健康な身体を持っているわけではない。突然のケガや病気は誰にでも起こりうる。生まれつき不自由な人もいる。年齢と共に身体も変化する。
病後、リハビリ、体のトラブル、余命宣告等、生きる希望として山を登る人もいる。ゆっくり歩くとこに慎重で一生懸命な人たちも山を歩いている。
でも、登山道でゆっくり歩くことを申し訳なく思う人、不安に思う人、山を諦めてしまう人もいる。
このしるしは、助けや介助を強要するものではありません。
ほんの少しの譲り合いで、登山道で色々な人々がスムーズに笑顔で安心して往来することができるよう願う、優しさと思いやりのしるし。(出典:ゆっくり山マイマイ Webサイト)
私が山登りを趣味にし始めた理由の一つに、「老若男女みんなが楽しんでいるから」ということがあります。今はまだ体力もありますが、将来年齢を重ねるたびに徐々に体力も落ちるでしょう。また、今後大きな病気を患ったり、事故に遭ったりするかもしれません。
そうなった時、私は「angelina」さんと同じように可能な限り努力して、再び山に登りたいと思うでしょう。そしてその時は、この「ゆっくり山マイマイ」のバッジを着けて登ろうと思います。
「ゆっくり山マイマイ」への活動支援
「ゆっくり山マイマイ」は、寄付で活動支援をすることもできます。ご関心のある方は、ぜひ下記ページをご覧になってください。
また、寄付という形でなくても、この活動を理解し、お互いに思いやりのある登山ができれば、それだけでも活動の支援になると思います。