朳差岳(えぶりさしだけ)
・標高:1,636m
・所在地:新潟県関川村
・飯豊連峰の北端に位置する山
・春にはハクサンイチゲ、夏にはニッコウキスゲ等が咲き誇る
・登山適期は例年6月~10月
「朳差岳」は新潟県関川村にある飯豊連峰の山の一つです。山頂の標高は1,636mとそれほど高くありませんが、稜線上には高山植物が沢山生育し、春から夏にかけて様々な花が咲きます。
飯豊連峰の入門コースと言われたりもしますが、距離が長くアップダウンも多いため初心者にはおススメできない山です。基本的には1泊2日で登る山ですので、準備を怠らずご自身の体力に見合った登山計画を立てて登りましょう。
この日の山行記録
駐車場情報
朳差岳へ登る場合は、「奥胎内ヒュッテ」を起点にして「足の松尾根」を登るコースが一番人気があると思います。
ヒュッテに向かう途中の道路で遭遇した猿軍団。
豊かな自然の中にある「奥胎内ヒュッテ」。まだ一度も泊まったことがありませんが、ここで前泊して朝早くスタートするのもいいですね。
日帰り入浴も可能ですが、16時までなのでそれより前に下山できないと入れません(2021年6月時点)。
トイレは、ヒュッテに向かって右手に登山者用があります。また、玄関横には飲料の自動販売機もあります。
この日は朝5時位にヒュッテ手前の登山者用駐車場に着きました。週末だったためこの時間でも既に登山者用駐車場(30数台駐車可能)は満車状態でしたが、何とか駐車できました。駐車場に入れなかった車は、往来の邪魔にならないように下の方で路肩駐車することが多いです。
この日のコース(ピストン)
奥胎内ヒュッテ ⇒ 足の松尾根登山口 ⇒ 姫子ノ峰 ⇒ 英三ノ峰 ⇒ ヒドノ峰 ⇒ イチジ峰 ⇒ 西ノ峰 ⇒ 大石山 ⇒ 鉾立峰 ⇒ 朳差岳山頂 ⇒ 鉾立峰 ⇒ 大石山 ⇒ 西ノ峰 ⇒ イチジ峰 ⇒ ヒドノ峰 ⇒ 英三ノ峰 姫子ノ峰 ⇒ 足の松尾根登山口 ⇒ 奥胎内ヒュッテ
往復距離:18.2km
累積標高差:(上り/下り)2,100m/2,100m
奥胎内ヒュッテ~朳差岳山頂の標準コースタイムは、上り6時間20分、下り5時間10分の計11時間30分だそうです。休憩時間は別途必要です。
※往復距離と累積標高差は概測
奥胎内ヒュッテ~姫子ノ峰
奥胎内ヒュッテにあるコース図を確認しましょう。登る人の体力や経験、装備の重量、気象条件などによって行動時間は変動するので、上述の標準コースタイムもあくまで参考程度にしてください。
このコース図によると、ヒュッテから朳差岳は7時間50分、朳差岳からヒュッテまでは6時間20分となっていて、上述の標準コースタイムよりかなり長く設定されています。設定基準は「山小屋泊装備で2~5名パーティ、中高年登山経験者」らしいです。
まずは登山口まで「頼母木川」沿いの舗装路を歩いて行きます。緩やかな上り坂です。
なお、毎年ハイシーズンの土日祝日になるとヒュッテから登山口まで乗合タクシー(マイクロバス)が出ます。これに乗れば登山口までの時間(標準コースタイムで片道1時間)と体力消費を抑えることができます。タクシー待ちの人たちが既に列を作っていましたが、並ぶのが苦手なのと節約のために歩きました。
水上橋、大樽橋、浅野橋といった橋を渡りながら進むと、右手に奥胎内大橋があります。ここでヒュッテ~登山口迄の道のりの半分ぐらい。
奥胎内大橋を右手に眺めながらさらに進むと、舗装路が終わって林道になります。
最後に頼母木大橋を渡ります。
「足の松尾根登山口」に到着。登山口周辺には自転車が沢山とめてありますが、これは帰路でヒュッテまでの道を楽に下りたい人たちが乗ってきた(引いてきた)自転車です。鍵がかかっていなくても、勝手に使ってはダメです(笑)
ようやく登山開始。登山ポストが設置されているので、登山届を必ず出してから登りましょう。
最初はのんびり緩やかな坂を歩いて行きます。
でもすぐに急登が現れます。
取り付いてすぐにロープが設置されていたりします。
”足の松尾根”の名のとおり、木の根が沢山張っている尾根道の急登を登って行きます。先が長いので、なるべくここで体力が削られないように歩いていきます。
途中に大き目の岩を越えて行くポイントがあります。ロープも設置されているので、慎重に渡れば大丈夫です。
その後も根っこに足をとられそうになりながら登る急登が続きます。
登山口から標準コースタイムで1時間ほど登ると「姫子ノ峰」に到着します。広めのスペースがあるので休憩して行きましょう。
姫子ノ峰~大石山
「姫子ノ峰」の先から急坂のアップダウンが始まります。
せっかく登ったのにぐいぐい下ります(笑)
たまに現れるフラットな道でHP回復!と行きたい所ですが、残念ながらすぐに終わります(涙)
健気に咲くツツジに励まされます。
胎内尾根が見えてきました。
徐々に見晴らしが良くなってきます。
こんな感じで足場がよくない岩場や、
手を使いながらじゃないと登りにくい箇所もあったりします。
「滝見場」に到着。
滝はだいぶ遠いのですが、轟音が響くほどの水量でした。
「滝見場」から少し登ると「英三ノ峰」に着きます。
相変わらず急登が続きますが、少しずつ青空も出てきて気分が上がります。
でも日差しが出てくると共に気温も高くなってきます。
急登と気温上昇で汗ダラダラの時に残雪ゾーンに突入。汚れた雪面を掘ってきれいな(きれいに見える)雪でタオルと手を冷やしました。冷たくて気持ちいい!
「ヒドノ峰」
「ヒドノ峰」からなだらかな坂を少し歩くと、水場への分岐があります。
水分は沢山持って来ていたので、水場には寄らずに登りました。
水場分岐からちょっと登ると少し広めのポイントに着きます。ここで小休止。
涼しげなブナ林ですが、暑くて汗が止まらずヒーヒー言いながら撮ってます(笑)
樹林帯を抜け、見晴らしの良い尾根道に出ます。
「イチジ峰」
細いザレ場。すれ違いに注意しましょう。
左手を見ると、この後に登る「鉾立峰」。
奥に「大石山」がハッキリ見えてきて元気が出ます。
「西ノ峰」。もうここまで来たら「大石山」はもうすぐ。
「大石山」に到着。「大石山」は分岐になっていて、「朳差岳」方面か「頼母木山」方面に進むことになります。
大石山~朳差岳山頂
「大石山」から眺める「頼母木山」方面。小休止しながら、どっちに進もうか考え中。
とりあえず反対側の「朳差岳」方面へ。鞍部まで下って、そこから「鉾立峰」への急登を登ります。
ハクサンイチゲの群生。
「二王子岳」がよく見えます。
左の「鉾立峰」に登り、さらにその奥の「朳差岳」へ行きます。
「鉾立峰」への登り。急登が続きます。
「鉾立峰」に到着。見晴らしが良いポイントなのでここで小休止。
「鉾立峰」からまた下った後に「朳差岳」へ登ります。
飯豊連峰の稜線上から眺める景色は壮大でいつも感動します。晴れていればもっと良いのになぁ。
ハクサンイチゲやミヤマキンバイなど高山の花が沢山咲いていました。
「朳差岳」山頂と避難小屋が見えてきました。
飯豊連峰ルート開拓の第一人者「藤島玄」氏のレリーフ。
ハクサンイチゲの群生と朳差岳。
まずは避難小屋に到着。左にトイレがあります。トイレットペーパーは持参しましょう。
それでは山頂へ。避難小屋からすぐに着きます。
「朳差岳」山頂(標高1,636m)に到着!登っている途中から気づいていましたが、ガスで真っ白です(笑)
大石ダムから登る東俣コースはほぼガスの中。
山頂から眺める避難小屋。頼母木山から先の稜線もガスであまり見えませんでした。晴れていればさらに素敵な景色だったのですが、それでも飯豊の峰々が織りなす景観に目を奪われます。
朳差岳山頂~奥胎内ヒュッテ
山頂で少し待ちましたが、ガスも無くなりそうにないので避難小屋に戻ってきて小屋前のベンチでちょっと早めの昼食。久々に長い距離を歩いているので、シャリバテしないようにしっかりカロリー摂取。
避難小屋裏を少し下った所に水場があります。なお、途中でお話しさせていただいたベテランさん情報では、この日はまだ残雪で水場は出ていないとのことでした。
下りも花を楽しみながら。
ちょっと青空出てきました。
鉾立峰。
「大石山」へ戻ります。
「大石山」に戻ってきました。
「頼母木小屋」まで行くつもりだったのですが、ガスってたのでやめました。持参した水もけっこう残っていたので。水が足りなくなった人は、「頼母木小屋」の水場まで行くと良いでしょう。水が引かれている時期であれば、冷たくて美味しい水がじゃんんじゃん出ています。
というわけで下山。結局この日はピストンになりました。
帰りも急坂を下ることが多いので、あまりスピードが出ません。滑りやすいのもあって意外と疲れます。
ザレた細道は慎重に下りましょう。ここは下山で疲れていて、バランスを崩して滑り落ちてしまう人もいるそうです。
自分の好きなポイント。登りの時は先客がいて使えませんでしたが、ここに座って景色を眺めるのが好きです。
長い距離を歩いた後半に現れる連続アップダウンは地味にきついです(笑)
癒しスポット「姫子」。ここからはほぼ下るだけ。
ようやく序盤の平坦な道が見えてきたー。
暑かったので下山途中からコーラが飲みたくて仕方ありませんでした。「早く奥胎内ヒュッテに戻って冷たいコーラを買うぞ」というしょうもないモチベーションで飛ばします(笑)
登山口~。
帰りもバスを使えば楽なのに、歩いて行きます(早歩き)。
奥胎内ヒュッテに戻ってきました!
しかし、自販機でコーラを買おうと思ったら、全て売り切れ!仕方がないのでリアルゴールドにしました(涙)。でも暑かったのと疲れていたのでめちゃんこ美味しかったです。 おしまい。
朳差岳の感想
「朳差岳」は先述のとおり標高こそそれほど高くないものの、距離やアップダウンの多さ(累積標高差が大きい)などから、簡単には登れる山ではありません。飯豊連峰の山には、色々な山で経験を積んでから臨むべきでしょう。でも、稜線上に出てからの景色はとても素晴らしく、天気が良ければ絶景続きの稜線歩きを楽しむことができます。また、ハクサンイチゲはもう終わりかけですが、これからヒメサユリやイイデリンドウ、ニッコウキスゲなどの高山の花が楽しめます。
今回は日帰りでしたが、飯豊の日没や日の出の景色はまた素晴らしいものがあるので、ぜひ泊まりで登ってほしいです。泊まりの場合は、朳差岳の小屋でもいいですが、「頼母木小屋」の方が水場が近くて良いです。ただし週末になるととても混むので、テント泊がおススメです。
あ、あと虫除けの準備もお忘れなく(笑)
この日持って行った主な道具
東京ベル 森の鈴(BEAR BELL) 消音機能付
簡単にONとOFFを切り替えられ、カラビナもついているので便利です。音はガチャガチャしておらず、余韻の残る澄んだ音色です。
ハッカ油スプレー
虫よけに使用します。自分は露出している肌だけでなく、ウェアや帽子などにもスプレーします。帽子のツバにスプレーしておくと、顔の周りにあまり寄ってこないです。なお、顔へ直接スプレーすると目に入って痛い思いをするので、手にとってから塗ると良いでしょう。
「THERMOS(サーモス) 山専用ステンレスボトル900ml FFX-900」
暖かい飲み物、冷たい飲み物を長時間保温できる最強の水筒。暑い日は氷を沢山入れて持っていきます。
「snowpeak チタンダブルマグ 300 フォールディングハンドル」
ダブルウォール構造で熱を伝えにくくなっており、温かい飲み物は冷めにくい。冷たい飲み物は温くなりにくく、結露も出にくい。チタン製のため軽量。