上高地(かみこうち)
・標高:約1,500m
・所在地:長野県松本市
・日本有数の景勝地、避暑地として多くの観光客が訪れる
・槍ヶ岳や穂高連峰等への登山ルートとしても使われる
・上高地へ至る道路はマイカー規制で一般車は通行できない
涸沢ヒュッテ(からさわひゅって)
・標高:約2,300m
・所在地:長野県松本市
・穂高連峰の「涸沢カール」に建つ山小屋
・穂高連峰の名峰を眺めながら飲食できるテラス席がとても人気
・冬期は雪崩が頻発するため閉鎖されている
GWに「上高地」から「涸沢ヒュッテ」まで1泊2日でトレッキングを楽しんできました。ピークハントせず、景色を楽しみながら歩くことが目的です。そして涸沢ヒュッテで穂高連峰を眺めながらビールとおでんを堪能することが2つ目の目的です(笑)
緩い山行の印象ですが、2日間で往復距離は約33km、累積標高差は登り下り共に約1,200mあります。また、この時期は「本谷橋」から先が残雪で覆われ、雪山登山装備が必要です。
事前準備
涸沢ヒュッテの宿泊予約
人気の涸沢ヒュッテの宿泊は当然のことながら完全予約制です。2023シーズンの営業は4月25日8時から予約開始ということで、友人がその時間から頑張って何度も電話をかけてくれました。
シーズン開始でGW直前ということもあり、なかなか電話が繋がらず。昼過ぎに何とか繋がって予約を取れたそうです。1泊2日夕食、朝食付き。
涸沢ヒュッテ宿泊の詳細は下記のWebサイトをご参照ください。
小屋泊に持っていく道具のパッキング
自分が小屋泊する際に持っていく登山用具以外の道具として、以下の物があります。日帰り山行が多いので、ついつい忘れてしまいがち。早めにパッキングしてしまいます。荷物が重くなったり嵩張るのが嫌なので、小分けにできる物は必要最低限にします。
・耳栓、アイマスク、ドリエル
周囲の音やイビキでなかなか寝つけないことがあるので、耳栓は必ず持っていきます。また、途中でトイレ等に行く人がヘッドライトを点けて動くことがあり、その眩しさで目が覚めてしまうことがあるので、アイマスクも持っていきます。
ドリエル(睡眠改善薬)に関しては、上記の対策をしてもなかなか寝つけない時に飲みます。うまく眠れて使用せずに持って帰ることも多いです。自分の場合は翌日に眠気が残る場合があるので、通常使用量の半分の量にとどめています。
・鼻腔テープ
他人のイビキは気になるものです。自分もイビキが結構うるさい(らしい)ので、鼻腔テープを貼って少しでもイビキの軽減を図っています。
・歯磨きシート
小屋によっては歯磨き粉の使用や歯磨き自体が禁止されている場合もあります。これは環境汚染対策や感染対策だったりするわけなのですが、自分は何もしないと口の中が気持ちが悪いので歯磨きシートでリフレッシュします。1泊ぐらい大丈夫って言う人も多いので、人によりけりですね。
・ドライシャンプー
山小屋では風呂やシャワーが無いことがほとんど。そういう所では当然洗髪も禁止。これも1泊ぐらい平気だろって友人に言われますが、頭が痒くなったり臭くなるのが嫌なので、ドライシャンプーを使用します。
・モバイルバッテリー、充電ケーブル
登山用GPSアプリを使用したり、緊急時の連絡用に携帯電話(スマホ)を持っていきます。別でカメラを使用していても、スマホで写真や動画を撮ったりすることもあります。バッテリーの消費を抑えるために”機内モード”にするのですが、それでも長い時間使用しているとかなり消費してしまいます。
本当は常に持って行った方が良いのですが、泊りの山行や日帰りでもロングの場合は必ずモバイルバッテリーと充電ケーブルを持っていきます。
テント泊でも同様ですが、他にも着替えだったり、酒のつまみだったりと色々と持っていきたくなります。でも、なるべく荷物が嵩張らないように、重くならないように厳選するようにしています。
駐車場情報
「さわんど第2駐車場」に車をとめました。駐車料金は1日700円(2023年5月時点)。ここから先はマイカー規制されているので、バスかタクシーに乗り換えます。
今回は4人で来ていたので、タクシー料金を割り勘すると1人当たりの費用がバスよりも若干安くなる計算でした。即決でタクシー!
ちなみにこの「さわんど第2駐車場」は足湯がある公園です。下山後に足湯に浸かって疲れを癒すなんてことができます。
トイレもありますし、飲料の自動販売機は近隣の宿泊施設前にあります。
今回のコース(ほぼピストン)
【1日目】
上高地バスターミナル ⇒ 河童橋 ⇒ 明神橋 ⇒ 徳沢 ⇒ 横尾大橋 ⇒ 本谷橋 ⇒ 涸沢ヒュッテ
【2日目】
涸沢ヒュッテ ⇒ 本谷橋 ⇒ 横尾大橋 ⇒ 徳沢 ⇒ 明神 ⇒ 上高地バスターミナル
往復(周回)距離:33.5km 累積標高差:(上り)1,200m (下り)1,200m
標準コースタイムは、往路:6時間00分、復路:4時間50分です。
※往復距離と累積標高差は概測
※休憩時間はコースタイムに含まれていません
バスターミナル ⇒ 河童橋 ⇒ 岳沢湿原 ⇒ 明神
朝6時前、「上高地バスターミナル」に到着。ここで登山届を提出したり、トイレに行ったりと最後の準備を整えます。
数年ぶりの上高地にワクワクが止まりません。まずは「河童橋」へ。
穂高連峰を眺めながら「河童橋」を渡って、「岳沢湿原」の方へ進みました。
湿原では木道歩きになります。
途中にあるウッドデッキから眺める、澄んだ水と「六百山(ろっぴゃくざん)」の景色が素晴らしいです。
分岐がありますが、道なりに「明神池」方面へ。左の「岳沢」方面に進むと、岳沢小屋を経て「前穂高岳」へのルートです。
「前穂高岳」は5年前に登りましたが、重太郎新道がきつかった思い出ばかり蘇ります(笑)
「明神橋」に到着。上高地からここまで標準コースタイムで1時間です。
上の写真で左手には「穂高神社奥宮」や「明神池」、「嘉門次小屋」があります。「嘉門次小屋」は岩魚の塩焼きが人気ですが、自分は未だに食べたことがありません...
「明神橋」を渡った先から見た「明神岳」がカッコいい。
橋から少し歩くと「明神館」があります。売店しか利用したことがありませんが、食事や宿泊もできるようです。
近くにトイレもあるので、上高地で人気の休憩ポイントの一つです。「明神館」の横を進み、次は「徳沢」を目指します。ここから標準コースタイムで約1時間かかります。
明神 ⇒ 徳沢 ⇒ 横尾
相変わらずなだらかな道が続きます。
明神岳、前穂高岳がよく見える状態で梓川沿いを歩いて行きます。
「徳沢」に到着。トイレ休憩していきます。
「徳沢キャンプ場」はテント持ち込みの場合は予約不要。当日行って受付すれば幕営できます。レンタルテントの場合は予約必須。ロケーションの良さもあってとても人気なキャンプ場です。
「徳澤園」は喫茶や食堂などもあってとても人気。一度でいいからここで宿泊してゆったり過ごしてみたいです。
「徳澤園」横を流れる沢が神秘的。
徳沢を出発して横尾を目指します。再び梓川沿いの道をテクテク。
徳沢~横尾の本来のルートが一部土砂崩れで通行止め。迂回するため梓川を渡りました。
迂回ルートはきちんと案内表示されていたので安心。
一旦樹林帯~林道歩きへ。
そして再び梓川を渡って対岸へ。
「横尾」に到着。ここまで来ると周りは登山装備の人たちばかり。
そしてこの「横尾大橋」を渡ると本格的な登山道となっていきます。横尾は「槍ヶ岳」や「蝶ヶ岳」「常念岳」に登った際にも何度か通っていますが、横尾大橋を渡るのは初めて。
横尾 ⇒ 本谷橋 ⇒ 涸沢ヒュッテ
「横尾大橋」を渡った先にはこんな注意書きもありました。「横尾」から「涸沢ヒュッテ」までは標準コースタイムで2時間半かかります。休憩時間も考慮すると、午後2時前といわず午前中の入山が良いでしょう。
登山道といっても、「本谷橋」まではなだらかな道が多かったです。
「2のガリー」。ガリーとは岩溝のことだそうです。
「本谷橋」の雪渓が見えてきました。
「本谷橋」。ここから雪が増えるので、アイゼンやチェーンスパイクを装着。自分たちはヒュッテまでだったのでチェンスパでも大丈夫でしたが、登攀目的の人は長爪のアイゼンを持っていきましょう。
途中でいくつか雪の無い箇所や雪と土のミックスもあったので、こういう所ではチェーンスパイクが便利。
皆さん列を作って涸沢を登っていきます。
「涸沢ヒュッテが見えてきた!もうすぐだー」と喜んでいたら、「ヒュッテが見えてからが長いんだ」という友人の話。
「そんなこと無いだろー」と言って最初は笑っていましたが、本当に長かった(笑)
途中で暑くてアウターを脱いで登りました。
ようやくヒュッテ手前の分岐標識。雪のある時期は右から進んでもヒュッテ横へ直登できるので、左右どちらでも大して変わらないそうです。ただ、ヒュッテの受付は左から登った方が近いです。
ようやく「涸沢ヒュッテ」に到着。最後は暑くてヒーヒー言いながら登りました(笑)
その後、仲間で連係しながらヒュッテの宿泊受付を済ませつつ、テラス席の場所を確保し、名物のおでんとビールを購入。
晴天でポカポカ陽気。穂高連峰を眺めながら飲むビールは格別でした!
テラス席の横では鯉のぼりが風に吹かれて気持ちよさそうに泳いでいました。
前編はここまで。後編へ続きます。
▼後編はこちら▼
上高地~涸沢(前編)の感想
数年ぶりの上高地は天気も良くて懐かしさもあり、とても気持ちの良いハイキングでした。これまではピークハントが目的で、上高地は単なる通過点という感じでしたが、ゆっくり歩いてみるととても景色が良く、トイレや売店など各施設が充実していてその人気の理由が改めて分かりました。
本谷橋~涸沢は雪が多く残っていましたが、雪質は程よく固くチェーンスパイクでも登りやすい状態でした。天気が良くてちょっと暑かったですが、久々の雪山ハイクも楽しめました。日焼け止めを塗り忘れたため、バッチリ日焼けしてしまいました(笑)
それと、何といっても涸沢ヒュッテのテラス席で、良い景色を眺めながらのビールとおでんは格別でした!
この日使用した主な道具
THE NORTH FACE スクープジャケット
雪山や寒い時期のトレッキングで使用するのに最適なジャケットです。ベンチレーション、内側ファスナーでインナーを連結できるジップインジップシステム、取り外し可能なスノーカフ等機能が充実しています。
Unigear 18本爪 チェーンスパイク
チェーンスパイクは軽量でコンパクトに収納でき、脱着もとても簡単です。しかも安価です。残雪期は念のためバックパックに入れて行くと良いです。
ブラックダイヤモンド(Black Diamond) アルパインゲイター
生地がしっかりしていて、少しぐらいアイゼンの爪が擦れても破れません。ベルクロだけでなくジッパーが付いているので、雪や水の侵入をしっかり防ぎます。ベルトの調節もしやすいです。