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初めての海外登山マレーシア「キナバル山」【前編】

キナバル山(きなばるさん)

・標高:4,095m

・所在地:マレーシア サバ州

・入山には現地ガイドの随行が義務付けられている

・標高3,200m地点に山小屋があり、食事もできゆったりと宿泊できる

・一年中登れるが、降雨量の少ない2月から5月頃が最適期

 

もう5年以上前になりますが、マレーシアの「キナバル山」に登った時のことを、記憶を呼び戻しながらご紹介。

 

キナバル山はマレーシアのサバ州(ボルネオ島北部)にそびえる山で、標高4,095mのマレーシア最高峰です。世界遺産のキナバル自然公園内にあります。

 

麓の方は熱帯雨林のジャングルで、山頂近くになると花崗岩によって形成された岩場が広がっています。

 

国内に魅力的な未踏の山が多くある中で、海外の山に登ったのは物凄く単純な理由。

「富士山よりも高い山に登りたいから!」(笑)

 

といっても、富士山より高ければどこでも良いという訳にもいかず。まず、あまりにも高い山は無理。危険な山も登りたくない。そもそも、仕事の休みをとれるのが公休を絡めてもせいぜい5日間。移動日も考慮すると、この時点で候補の山がかなり絞られます。

最終的に台湾の玉山(標高3,952m)と悩みましたが、マレーシアには行ったことが無かったこと、標高が4,000mを超えていることが決め手となり、キナバル山に決定しました。

 

 

 

事前準備

ツアー予約

2か月ぐらい前に「HISエコツアー」で予約を行いました(繁忙期はもっと早く予約しないと間に合わないそうです)。予約するまでパスポート有効期間の確認を忘れていましたが、十分残ってて一安心。

 

当初は個人手配も考えていましたが、キナバル山登山の条件として、

①中腹の山小屋に宿泊予約

②登山許可申請と承認

③現地山岳ガイドの同行

が必須とされています。その他にも、当日キナバル自然公園への移動手段手配、当日現地事務所での各種手続きや支払い、保険(旅行、登山)なども必要です。

 

...色々と考えていたら面倒になってきたので、もうツアー会社に全部任せちゃおうという気分になりました(笑)

個人手配よりも費用がかかりますが、手配に費やす時間や手間を省けることと、登山に集中できる安心感がメリットです。

 

ポケットwifiルーターの手配

公衆無線LANを使用することでお金はかかりませんが、速度やセキュリティに不安があったので、wifiルーターをレンタルしました。成田空港にある窓口で受取や返却できるので便利でした。

自分はPCも使うのでwifiルーターをレンタルしましたが(旅先でも仕事をする社畜です)、スマホ1台だけの通信なら海外ローミングや、海外SIMも選択肢に入れるとよいかもしれません。

それと、海外では電源プラグの形状や電圧が日本と異なるため、変換アダプターも必須です。自分のは色んな国で使用できるタイプのものです。

 

マレーシア通貨へ両替

現在のマレーシアではキャッシュレス化がかなり普及しているらしいのですが、コロナ前だったのでそれ程普及しておらず。事前に15,000円位を両替しておきました。

外貨両替には手数料がかかるのでちょっと勿体ありませんが、山小屋で飲料を買ったり、麓でもキャッシュレス決済ができない店があるので、ある程度用意しておいた方が良いでしょう。

大きな額を両替するのであれば、マレーシアに着いてからレートの良い両替所に行きましょう。でも自分みたいに大して両替しないのであれば、差額も小さなものです。日本の空港で両替するのが手っ取り早く、安心して旅を楽しめます。

 

常備薬

普段の登山でもファーストエイドキットの中に入れているものですが、自分はお腹を壊しやすいので整腸剤を、高山病になった時のために解熱鎮痛剤を持っていきました。

高山病になるのが不安な人は、「ダイアモックス」を処方してもらって持って行くと良いでしょう。ちなみに高山病予防を目的とした場合、「ダイアモックス」は保険適応外です。

 

登山用具、装備

上記以外で自分が持って行った登山道具や装備は以下の物です。

・バックパック(40L)、レインカバー

・雨具(Gore-Tex)

・軽量ダウンジャケット

・シューズ(軽くてしっかりした壊れにくいもの)

・帽子(キャップ)

・サングラス

・グローブ

・トレッキングポール

・ヘッドライト、予備電池

・モバイルバッテリー

・タオル

・飲料(マレーシアで500mlペットボトル飲料を4本購入)

・行動食、非常食

・トイレットペーパー(芯を抜いて潰して持ち運ぶ)

・ウェットティッシュ

・虫よけ(ハッカ油)

・ファーストエイドキット

夜間に登ってご来光を見るツアーだったので、防寒着とヘッドライトは必須です。標高が高いので、夜や朝は冷えます。ヘッドライトの予備電池も忘れずに。

また、熱帯雨林地方なので、乾季でも雨具はあると良いです。

 

今回のコース

ティンポホンゲート ⇒ ラヤンラヤン小屋 ⇒ ラバンラタ小屋(宿泊) ⇒ サヤサヤ小屋 ⇒ キナバル山山頂(ロウズ・ピーク) ⇒ サヤサヤ小屋 ⇒ ラバンラタ小屋 ⇒ ラヤンラヤン小屋 ⇒ ティンポホンゲート

 

往復(周回)距離:16.1km 累積標高差:(上り)2,290m(下り)2,290m

※標準コースタイムは不明です

※往復距離と累積標高差は概測です

 

 

 

(1日目)成田空港 ⇒ コタキナバル空港

東京の友人宅に前泊し、早朝に成田空港へ向かいました。成田空港でwifiルーターを受け取り、マレーシア空港のコタキナバル便に乗り込みます。チケットは事前に旅行会社から送られてきたQRコードを読み込ませるだけ。

直行便は楽でいいですね。5時間超のフライトも、機内食を食べたりウトウトしてたらもうコタキナバルに着きました。

 

空港でツアーガイド、他のツアーメンバーと合流。マイクロバスでこの日のホテルまで送ってもらいました。

 

泊まったホテルの部屋はこんな感じ。新しい建物ではありませんが、きれいに手入れされています。海外なのでウォッシュレットトイレが無いのは仕方ない。あと、シャワーの操作にちょっと手間どりました。他は快適で、居心地の良いホテルでした。

 

部屋から眺めたコタキナバルの街並み。山に持って行く飲料(ペットボトル)の買い出しと夕飯を食べに出かけましたが、翌日の登山に備えて早々に寝ました。

 

 

 

(2日目)ホテル ⇒ ティンポホンゲート

フロントにスーツケースを預け、ツアーガイドやツアーメンバーと合流。マイクロバスで6時にホテルから出発。

まっすぐ現地に向かうのかと思っていたら、途中で何か所か寄り道しながらでした。キナバル山の背後から朝陽が昇るところを見られて良かったです。

 

寄り道している間に、最初はぎこちなかった他のメンバーとも楽しく会話できるようになってきました。

 

どこだったか忘れましたが、犬が沢山放し飼い?されていてちょっと怖かったです(笑)でもどの犬も吠えたりせず、大人しかったです。

 

犬が道路で普通にくつろいでいます(笑)

8時30分頃、キナバル国立公園事務所に到着。既に沢山の車と人でごった返していました。ここでツアーガイドさんがメンバーの入園と登頂手続き、支払いなどをまとめてやってくれました。

 

混んでいたせいか、この手続きでまぁまぁ待たされました。自分たちは景色を眺めたり、写真を撮ったりして待っているだけ(笑)

 

あそこに登るそうです。

 

公園内に入るためのIDカードをもらいました。これが無いとゲートから先へ進めません。ガイドさんから「失くさないようにね!」と何度も言われました。失くすと大変なんでしょうね(笑)

 

山岳ガイドさんと合流しようやくスタート。「selamat mendaki」と書かれたゲートを通って行きます。ガイドさんに聞いたら、「安全な登山を」という意味だそうです。

 

「ティンポホンゲート」でIDカードのチェックがあります。前を歩く緑色のTシャツの人がツアーガイドさん。日本語が話せて、色んな手続きを代わりにやってくれるのでとても頼もしい。

 

 

 

ティンポホンゲート ⇒ ラバンラタ小屋

案内板を使いながら色々と説明してくれましたが、悲しいことに何を聞いたのか全く憶えていないです。

登山中は山岳ガイドさんが先頭を歩いて、その後にツアーメンバー、ツアーガイドさんの順に続きました。ちなみに別料金を払うと山岳ガイドさんが多少荷物を持ってくれます。ポーターの役割を兼ねているようです。

 

山岳ガイドさんがゆっくり、かつ遅すぎないペースで登ってくれました。ゆっくり登ることで、徐々に高度をあげていくので高山病のリスクを減らせます。その他、危険個所なんかも教えてくれるので安心して登れました。

 

日本でいう東屋のようなシェルターがいくつもあり、スコールになった場合に便利そうです。トイレも「ラバンラタ小屋」までの間に5,6か所位ありましたが、ペーパーが無いので自分で持って行きましょう。

 

ずっと樹林帯を登っていたので、開けたポイントで山頂方面が見えた時は気分が上がりました。

 

お昼ごろ、比較的空いていたシェルターで休憩。ランチボックスを受け取って昼食に。チキンと野菜を茹でたようなメニューでした。健康的な感じで良いのですが、とても薄味でした...食が進まなかったので飲料で流し込むように食べました(笑)

 

シェルターで休んでると、リスが沢山走り回っていました。

 

休憩を終え再び登り出します。入山者数が制限されているとはいえ、やはり人気の山なので時々渋滞します。でも富士山のように、しばらく足止めみたいな酷い渋滞はありません。

 

「ラヤンラヤン小屋」に到着。ここら辺からガスが湧いてきて、遠くの景色がしばらく見られなかったのが残念。

 

混んでいるポイントを避け、丁度よいタイミングに空いているシェルターで休憩をとらせてくれる山岳ガイドさん。有能です。

 

スタートから6時間30分ほど経過し、ようやくこの日の宿泊施設「ラバンラタ小屋」に到着。標高3,272m地点に建てられていて、キナバル山で最も人気の小屋です。

 

 

 

ラバンラタ小屋

さっそく「ラバンラタ小屋」の中へ。

 

見たことの無いステッカーが沢山貼ってありました。

 

ここは食堂と売店のあるスペース。

 

近所のおじさんに似てるけど有名人なのかな?

 

宿泊棟へ。日本の山小屋と全然違いますね。

 

21時消灯のようです。

 

相部屋ですが、ベッドで寝られます。サイズは十分。布団が柔らかくて枕も2つある!

 

ベッドから外を眺めたら、青空が広がって雲海が凄いことになっていました。外に出ます。

 

到着時点はガスで見えませんでしたが、小屋裏に岸壁がそびえていました。小屋前の広場ではネットを張ってソフトバレーを楽しむ人たち。スタッフが休憩していたのかな?

 

小屋に戻って早めの夕食。ビュッフェスタイルで自分の食べたいものを食べたいだけ取ることができます。写真撮り忘れましたが、美味しかったです。

 

その後ベッドでくつろいでいたら、広場に人が集まって夕陽を眺めていました。

 

急いでまた外に出ましたがちょっと遅かった。でも、きれいなグラデーションの空が眺められました。この後、翌日に備えて早めに就寝。

 

 

 

ラバンラタ小屋 ⇒ キナバル山山頂

翌日1時30分頃に起床。食堂で軽食を食べます。ガイドさんに「戻ってくるまで食事を取れなくなるので、しっかり食べておいてください」と言われました。美味しくてちょっと食べ過ぎてしまい、トイレが心配になりました(笑)

 

夕食後、登山準備を済ませて2時30分頃登山開始。ヘッドライトと防寒着必須です。小屋から山頂までは、標高差820m距離2.6km程。割と急登箇所が多い印象でしたが、皆列を乱すことなくゆっくり登って行くので、それほど疲れず。高山病にもなりませんでした。

 

山頂まではずっと暗かったので写真を全然撮りませんでした。いきなり山頂の写真。しかも思いっきりブレています(笑)

とにかく、標高4,095mキナバル山山頂(別名:ローズピーク)に無事登頂!山頂標識前は記念撮影の列が凄かったです。自分は記念撮影にあまり興味が無いタイプなので、ここが唯一ストレスに感じました。

 

キナバル山頂付近から眺めるご来光はとても素晴らしかったです。晴れてきれいな朝陽と空でした。

前編はここまで。後編は下山の景色とサバ州観光を紹介します。

 

▼後編はこちら▼

 

 

 

 

キナバル山の感想

「キナバル山」は先述したように、山小屋での宿泊を必須とすることで1日の登山者数をコントロールしています。また、山岳ガイドの同行が必要だったり、入山前の審査も必要です。

こういった手続きは確かに面倒に感じるかもしれませんが、登山者を制限することで、混雑が少なく快適に登山できること、事故・遭難のリスクを減らせること、環境への負担も減らせること等の様々なメリットがあります。

海外の有名な山ではこのような規制をかけているところが多いので、2024年からようやく規制に動き出している「富士山」はかなり時代遅れと言わざるを得ません。地理的状況や、様々な利権が絡んでいることも分かりますが、山梨と静岡で足並みが揃っていないことも問題です。

脱線してしまいましたが、「キナバル山」登山はとても楽しかったです。序盤は見たことの無い植物を、山頂近くでは迫力のある広大な岩山からの景観を楽しめます。また、ストレスを感じるような混雑が無かったこと、山岳ガイドが同行することで安心して登山できたこと、宿泊施設の「ラバンラタ小屋」が快適だったことなども大きかったです。