槍ヶ岳(やりがたけ)
・標高:3,180m
・所在地: 岐阜県高山市、長野県松本市、大町市
・日本百名山、花の百名山
・その特徴的な山容から、「日本のマッターホルン」と言われる
・例年登山適期は7月~9月
「槍ヶ岳」は槍のように鋭く尖った特徴的な山容で、遠くから眺めてもその位置が判別できます。深田久弥は「日本百名山」の中で次のように槍ヶ岳について語っています。
一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。 出典: 『日本百名山』深田久弥
一度どころか今回で三度目になるのですが、過去2回は天気が良くなかったのです。今回は休日と天気予報を照らし合わせて、何度か調整しました。
ちなみに、縦走以外で槍ヶ岳へ登る場合は”上高地”から登る「槍沢コース」の方が人気ですが、それよりも距離が短くて時間がかからない”新穂高温泉”からの「飛騨沢コース」で登ってきました。
駐車場情報
新穂高温泉は、槍・穂高へ向かう人や笠ヶ岳、双六岳へ向かう人などが沢山集まるスポットです。そのため登山者用駐車場も多いのですが、無料で広く、登山口へのアクセスも良い「市営第3駐車場」(奥飛騨温泉郷観光協会のMAPでP5の枠)は激戦区です。
初めて第3駐車場を利用する場合は、入口がちょっと分かりにくいので気をつけてください。トンネル途中で左に抜けます。ナビで「深山荘」を目的地にセットできると分かりやすいです。
第3駐車場には250台駐車可で、簡易トイレもあります。
※第3駐車場が満車で停められなかった場合を想定して、予め他の駐車場の位置も調べておくことをおススメします。
▼公共交通機関でのアクセス
「新穂高ロープウェイ」のWebサイトに詳しく記載されています。
今回のコース(飛騨沢コース)
(1日目)第3駐車場 ⇒ 新穂高ビジターセンター ⇒ 穂高平避難小屋 ⇒ 槍平小屋 ⇒ 飛騨乗越 ⇒ 槍ヶ岳山荘 ⇔ 槍ヶ岳山頂
(2日目)槍ヶ岳山荘 ⇒ 飛騨乗越 ⇒ 槍平小屋 ⇒ 穂高平避難小屋 ⇒ 新穂高ビジターセンター ⇒ 第3駐車場
往復距離:29.0km 累積標高差:(上り)2,300m(下り)2,300m
標準コースタイムは、往路9時間10分、復路6時間50分です。
※往復距離と累積標高差は概測
駐車場 ⇒ 槍平小屋
深夜2時頃に第3駐車場に到着し、ほぼ満車でしたがなんとか駐車できました。車で仮眠し、朝6時に駐車場奥にある道から出発しました。
左に高原川が流れる道を10分ほど歩くと、「新穂高ビジターセンター」 が見えてきます。ビジターセンターにはきれいなトイレと自販機等があるので、登山前の最終準備をここで整えましょう。登山届もここで必ず提出して行きましょう。
▼登山届は下記からもダウンロードして事前に記入できます▼
「飛騨沢コース」は”右俣林道”から登っていきます。ビジターセンターに向かって右側の道路を進みます。
すると、「新穂高ロープウェイ」が見えてきます。西穂を登る場合に利用しますが、この日は槍ヶ岳なので素通り。
山沿いに林道を歩いて行きます。駐車場こそ混んでいましたが、林道に入るとそれほど人が歩いていません。「飛騨沢コース」は「槍沢コース」よりも静かな山歩きができます。
この林道歩きがかなり長いです。緩やかで楽なんですけどね。
一般車両進入禁止のゲートがありますが、登山者は横から通れます。
途中、右手にショートカットコースの山道入口があります。私はあまり好きではないので、そのまま林道を歩きました。
林道歩きで間違えそうな箇所はここぐらいだと思いますが、真っ直ぐは立ち入り禁止です。右に大きく曲がります。看板にもしっかり書いてあるので、見落とさなければ大丈夫です。
「穂高平避難小屋」。登山者の多い日は管理人さんがいるようですが、それ以外は無人の避難小屋です。トイレもあります。
ちなみに、先ほどのショートカットコースとはここで合流します。
小屋の横には柵で囲われた牧場がありますが、タイミングが悪いのか飼育されている動物を見たことがありません。
林道歩きはまだまだ続きます。
今にも崩れてきそうなちょっと怖い箇所。
この分岐は右へ行くと「奥穂高岳」方面です。槍ヶ岳方面は標柱に従い、真っ直ぐ進みます。
するとすぐに「白出沢」に出ます。向こう岸に渡ります。ここは普段は水が流れていません。ここで水がそこそこ流れている場合は、上部の他の沢はきっと水量がヤバいことになっているので、飛騨沢コースは通らない方がいいです。
白出沢を渡ると、ようやく登山道になります。
なだらかな坂が続きますが、湿った岩が多いので滑って転ばないように気をつけましょう。
「チビ沢」。
ここも通常は枯れているので普通に歩いて渡ります。
巨岩が落ちて道が崩れている箇所がありました。こういう風景を目の当たりにすると、自然の恐ろしさがよく分かります。注意しながら速やかに通過しましょう。
「滝谷」の手前で避難小屋があります。万が一のことがあればここを利用しましょう。
しばらく天候が落ち着いていたので「滝谷」の水量も多くなかったですが、それでも結構な勢いで水が流れています。橋から落ちないように慎重に渡りました。
槍平小屋が設置しているライブカメラ。飛騨沢コースの状況を確認する場合、槍平小屋のブログがとても参考になるので、事前にチェックしておきましょう。
「滝谷」は増水すると本当に危険です。過去に事故が何件も起きているので、槍平小屋の情報を事前に確認して、危険であれば飛騨沢コースから登るのはやめましょう。
滝谷を渡ると、右側の岸壁に「藤木九三」のレリーフがあります。
藤木九三 ふじき-くぞう
1887-1970 大正-昭和時代の登山家,新聞記者。
明治20年9月30日生まれ。大正4年東京朝日新聞社にはいる。岩登りを研究・実践し,13年RCC(ロック-クライミング-クラブ)を結成,翌年北穂高滝谷の初登攀(とうはん)に成功。昭和9年京都帝大白頭山遠征に報道員として参加した。昭和45年12月11日死去。83歳。京都出身。早大中退。著作に「雪・岩・アルプス」など。出典:講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plus
途中から岩だらけ。
岩の多い道なので、たまに出てくる土の道がとても気持ちよく感じられます(笑)
最後の沢ポイント「南沢」です。ここも枯れていましたが、大雨の場合は渡れないぐらい増水することもあるらしいです。
ようやく道が落ち着いてきて、木道が出てきたら「槍平小屋」はもうすぐです。
「槍平小屋」に到着です。小屋の横に広いスペースがあるので休憩して行きましょう。
ちなみにここから先は急登が続くので、既に体力と時間に余裕が無いという人は、ここで宿泊するのも一つの手です。
奥に進むと水場とトイレ(100円)があります。水が冷たくて美味しかったです。後半のキツイ登りに備えて諸々準備しましょう。
槍平小屋 ⇒ 槍ヶ岳山荘
槍平小屋でちょっと長めの休憩を取り、栄養補給しました。テント場の横から先へ進みます。
朝のガッスガスの空が一転して青空です。気分よく序盤のなだらかな道をスタートします。
なだらかなのは最初だけで、すぐに勾配がきつくなってきます。ヒーヒー。
写真では分かりませんが、遠くの方に槍ヶ岳山荘が見えてきました。
けっこう登りがきつくなってきていて、景色を眺めたり写真を撮ったりして気分を紛らわします(現実逃避)
「千丈沢分岐」に到着しました。救急箱が設置されています。「西鎌尾根」への道と分岐になっています。疲れたのでここでまた長めの休憩。
※槍平小屋からここまで標準コースタイムで2時間半、さらにここから槍ヶ岳山荘まで2時間です。
休憩している間に、下からガスがもくもくと上がってきました。
慌てて休憩を切り上げて登りだしますが、ガスの方が圧倒的に速いので、あっという間に追い越されました。
途中から諦めてマイペースで登ります。岩だらけになるので、ペンキ印やリボンを目印に、コースから外れないように登って行きます。
この時点で標高2,600m。槍ヶ岳山荘が3,000mちょい。
つづら折りに登って行きますが、それでも勾配がきつく感じられます。酸素も薄くなってきてるしね。
長い上り坂で思考停止になりがちですが(笑)、落石に注意しながら登りましょう。
たまに青空が顔を出すと、ちょっと元気になります。
でもまだ遠いなー。
登ってきた道を振りかえる。
ちんたら登ってたら晴れてきました(笑)
「飛騨乗越」の分岐まであともうちょい!
「飛騨乗越」に着きました!ここまで来たら山荘までもうすぐです。
ちなみに槍ヶ岳方面と逆にある荒々しい稜線は、大喰岳と中岳を経由して南岳の方面へ向かうルートです。
では槍ヶ岳山荘へ向かいます。ガスの奥にうっすらと槍の穂先が見えてきました。
槍ヶ岳山荘のテント場があります。ここでテント泊してみたいけど、ここまでテントを担いでくるのが嫌なので誰か運んでください(笑)
テント場の間を抜けるように登ると、
槍ヶ岳山荘に到着です!
テン場、外来用に屋外トイレあります。
山荘と槍ヶ岳。いやー何回来ても長くて疲れるわ!
今回は槍ヶ岳山荘で1泊(ケチって素泊まり)。
山荘に入って宿泊の受付&料金支払い。槍ヶ岳山荘は3人以下なら予約不要です。4人以上の団体は事前予約必要とのことです。
新型コロナ感染予防のため、宿泊は予約必須です(2022年現在)。最新の情報は槍ヶ岳山荘のサイトでご確認ください。
売店で槍ヶ岳のグッズやお菓子などを売っています。飲料は自動販売機でも購入できます。
ヘルメットを持ってきていない人は、ここでレンタルできます(有料)。なるべく安全に登れるようにヘルメットは必ず着用しましょう。
★今回はここまで 2日目へ続く★
この日使用した主な道具
SPORTIVA(スポルティバ) トランゴ TRK GTX
アルパインブーツを多く出しているSPORTIVAによる軽量のトレッキングブーツ。片足600g未満とライト系でありながら、岩場の多い山にも対応しているのでおススメ。
Black Diamond ストームライン ストレッチレインシェル
高山では夏でも気象や時間帯によって寒くなることもあるので、1枚かるく羽織れるジャケットを持って行くことをおススメします。この日は行動中こそ暑くて使用しませんでしたが、夕方や朝は寒く感じたので使用しました。
BLACKDIAMOND(ブラックダイヤモンド) ハーフドーム
軽量で装着しやすいヘルメットです。落石や滑落の危険性が高い山にはヘルメットを持っていきましょう。
BLACKDIAMOND(ブラックダイヤモンド) クラッググローブ
グローブをしていると手を保護できるし、滑り止めが効いて鎖やロープを握りやすいです。
東京ベル 森の鈴(BEAR BELL) 消音機能付
簡単にONとOFFを切り替えられ、カラビナもついているので便利です。音はガチャガチャしておらず、余韻の残る澄んだ音色です。