木曽駒ケ岳(きそこまがたけ)
・標高:2,956m
・所在地:長野県木曽郡木曽町・上松町、上伊那郡宮田村
・中央アルプス(木曽山脈)の最高峰で「日本百名山」の一つ
・ロープウェーを使うことで標高2,600m超から登り出すことができる
・雪が多い時期は長爪アイゼンとピッケル等の雪山装備が必須
4月中旬にロープウェーを利用して「木曽駒ヶ岳」へ登ってきました。中央アルプス(木曽山脈)の最高峰で、”日本百名山”の一つとして数えられています。景色が素晴らしいこともありますが、ロープウェーを使うことで標高2,600m超から登り出せることもあり、とても人気のある山です。
ロープウェーで短い距離と標高差で登頂することができるため、優しい山と勘違いしてしまう人がいますが、雪がまだ多く残る八丁坂の急斜面を登り下りする必要があります。装備や経験が不十分な人が滑落したり、下りられなくなって救助されるなんてニュースを毎シーズン見聞きするので、ヘルメットと長爪アイゼン(前爪付)、ピッケルの装備と、雪山登山のある程度の経験が必要です。
駐車場情報
駒ヶ岳ロープウェイ乗り場の「しらび平」はマイカー規制区間にあるので、「菅の台バスセンター」でバスに乗り換える必要があります。
駐車場は舗装こそされていませんが、きれいに整備されていてロープで区画が定められているので駐車しやすいです。駐車料金は2025年4月時点で800円/日で、ゲートから出る際に支払うシステム。
トイレ、飲料自販機もあります。
この日のコース
しらび平駅 ⇒ 千畳敷駅 ⇒ 乗越浄土 ⇒ 中岳 ⇒ 木曽駒ヶ岳山頂 ⇒ 中岳 ⇒ 乗越浄土 ⇒ 千畳敷駅 ⇒ しらび平駅
往復距離:3.6km 累積標高差:(上り、下り)450m
無雪期の標準コースタイムは、往路1時間40分、復路1時間00分です。
※往復距離と累積標高差は概測
※ロープウェー区間は数値に含めていません
※積雪時は夏期よりも時間がかかることが多いので、余裕を持った計画を立てましょう
しらび平駅 ⇒ 千畳敷駅 ⇒ 千畳敷カール ⇒ 乗越浄土
長い行列に並び、バスに乗って「しらび平」へ。
ちなみにチケットは現地購入できますが、事前にスマホアプリからバスとロープウェー往復のオンラインチケットを購入しました。何年も前は窓口に切符を買う行列ができたものですが、今やほとんどの人がオンラインチケット。
バスでは運転手さんにダウンロードしたバウチャー(スマホ)を見せて降車、ロープウェーでは改札でバウチャーのQRコードをかざして認証を受けるという流れでした。
「しらび平駅」(標高1,662m)からロープウェーで「千畳敷駅」(標高2,612m)へ標高差950mを上がっていきます。この標高差は日本一なんだそうです。
混雑したロープウェー車内はちょっと苦痛でしたが、楽々「千畳敷駅」(標高2,646m)に着きました。これは下山後に撮った写真ですが、駅から出るともうこの絶景です。アイゼンやヘルメット等の装備を整えます。
まずは夏期にお花畑が広がる緩やかなエリアへ下って行きます。
「千畳敷カール」へ向かって進んで行きます。雪はまぁまぁ踏み固められていて歩きやすい。ワカンも念のため持ってきていましたが、終始出番なし。
「乗越浄土」まで標高差250m弱を一気に登って行きます。
急登の「八丁坂」に入ると前方が渋滞し始めました。右脇を通って追い越そうかと考えましたが、最近の体力の落ちっぷりからそんな気力も起きず、ゆっくり追従することにしました(笑)
左側の「宝剣岳」から雪崩が起きやすいので、注意しながら登ります。この日も小さな表層雪崩が断続的に発生していました。
夏期の「八丁坂」はつづら折りに登って行きますが、雪がある時期は直登。余計しんどいですが、渋滞気味なのでゆっくり登ることができました。
「乗越浄土」手前で振り返ったところ。
「乗越浄土」に到着。ここで標高2,858m。八丁坂の急登を終え、一息入れるには絶好の休憩ポイント。
乗越浄土 ⇒ 中岳 ⇒ 木曽駒ヶ岳(西駒ヶ岳)山頂
この日は登りませんでしたが、「伊那前岳」方面も良いですね~。
これから進むルート方面。青い屋根が「宝剣山荘」、右手の赤い屋根が「天狗荘」。基本は7月~10月中旬の営業で、「天狗荘」は宿泊専用。この二つと「頂上山荘」も同じ会社が運営しています。
「宝剣岳」方面に向かう人も結構いますね。初心者はやめておいた方がいいです。
「宝剣山荘」はまだ雪に埋まったまま。
「天狗荘」は1階部分が埋まっている状態。二つの棟の間を通って「木曽駒ヶ岳」山頂方面へ。
この日も霞が酷くて、遠方の景色が見られず残念でした。
まずは「中岳」へ。
徐々に息切れするようになってきました。そういえば標高も2,900m近く。低山ばかり登っていたのと、運動不足もあって体が重い...
「中岳」に到着。標高2,925 mです。
ここからまた下って、「頂上山荘」前を経由して「木曽駒ヶ岳」山頂へ登ります。
「頂上山荘」。夏期にここでテント張って夜を過ごすのも良さそうですね。
山頂までもう少しなのですが、足が重い。心なしか先行者の足取りも重そう。
「木曽駒ヶ岳」山頂に到着。標高2,956mです。
木曽駒ヶ岳山頂からの眺望。「木曽前岳」と奥に「麦草岳」。空気が澄んでいれば、もっと奥に「御嶽山」が見えるはずなんだけど...
ちなみに手前に見える赤い屋根の小屋は「頂上木曽小屋」。
「宝剣岳」とその奥に中央アルプスの峰々が薄っすらと。
「将棊頭山」方面。この稜線もいつか歩いてみたい。
景色を眺めながらちょっと早いお昼ご飯。この日はテムレスを持ってきていましたが、暑くて一度も装着せず。終始素手で過ごしました(笑)
木曽駒ヶ岳山頂 ⇒ 中岳 ⇒ 乗越浄土 ⇒ 千畳敷駅 ⇒ しらび平駅
それでは下山します。
まだ沢山の人が登ってきます。
「中岳」への登り返しが地味につらい。
疲れより、無風で暑さにやられそう...でも薄着になるとお腹を壊してしまうので我慢。
「中岳」。
あとは下りが中心。
「宝剣岳」を眺めながらのんびり歩きました。途中、宝剣岳から下っている人がバランスを崩して滑落しそうになっているのを見て、ちょっとヒヤっとしました。
「乗越浄土」。
実のところ「八丁坂」の下りが一番の核心部。雪崩に注意しながら、登ってくる人たちに雪を落とさないよう、メインのトレースを避けて慎重に下りました。気温が上がってきて、雪が緩んできて余計に下りづらい。
八丁坂を通過したら、あとはダラダラ下るだけ。最後に「千畳敷駅」へのちょっとした登り返しが残っていますが。
無事に戻ってきました。装備を外して駅舎に入ります。
この後、ロープウェーであっという間に「しらび平駅」へ。帰りの車内は空いていて快適でした。おしまい。
残雪期の木曽駒ヶ岳の感想
雪がある時期の「木曽駒ヶ岳」は2回目でしたが、初めて登った時は今回のようにおだやかな天気ではなく、吹雪で視界不良になるような状況もありました。積雪量も多くて苦労した記憶ばかり。今回は春霞で遠くの景色は楽しめませんでしたが、青空で気持ちの良い登山ができました。贅沢を言えば、もう少し風があって涼しかったら良かったなぁと。とにかく登りの時は暑かったです。日焼け止め軽く塗っていましたが、けっこう日焼けしました。
今回ちょっと気になったのが、短い爪のアイゼンやトレッキングポールで登っている人が結構いたことです。八丁坂の登り下りは、雪がそこそこ残っているうちは長爪アイゼンとピッケルがあった方が良いと思います。あとヘルメットもね。
下山後に立ち寄った温泉
「こまくさの湯」
日帰り温泉施設の「こまくさの湯」です。帰りのバスを一つ前の「菅の台」で下車すれば目の前にあります。「菅の台バスセンター」から歩いても10分かかりません。
露天が気持ち良いし、食事もできます。駐車場も2ヵ所あって広いです。
下山後に立ち寄った場所
「駒ヶ根ファームス」
これもバスセンターすぐ近くの「駒ヶ根ファームス」。野菜やお土産なども売っていますが、「駒カフェ」のシェイクが絶品です。
この日持って行った主な道具
ペツル(PETZL) クランポン イルビス(IRVIS)
ペツルの10ポイント長爪クランポン(アイゼン)です。後ろコバがあるブーツに対応。クランポンのベイルを交換することで、前コバのあるブーツにも対応できます。
前後にコバの無いブーツの場合はこちら。
ブラックダイヤモンド(Black Diamond) アルパインゲイター
生地がしっかりしていて、少しぐらいアイゼンの爪が擦れても破れません。ベルクロだけでなくジッパーが付いているので、雪や水の侵入をしっかり防ぎます。ベルトの調節もしやすいです。
グリベル(Grivel) ピッケル ネパールSA・プラス
初心者におススメのストレートシャフトのピッケル。ヘッドカバーやリーシュ、石突カバーも付属しています。
MAGIC MOUNTAIN 登山用 アルミわかん ラッセル2
シンプルなアルミフレームのワカンです。ワカンはスノーシュー程浮力はありませんが、軽量なのと小回りが利くので、急坂や細道の多い雪山登山に適しています。
SHOWA GLOVE TEMRES 02 winter ブラック
作業用グローブで実績のあるショーワグローブによるアウトドア防寒グローブ。安くて防寒性に優れています。雪の里山登山に最適です。「01 winter」にカフやストラップが付いてさらに便利になっています。