入笠山(にゅうかさやま)
・標高:1,955m
・所在地:長野県伊那市、諏訪郡富士見町
・「富士見パノラマスキー場」ゴンドラで標高1,800m弱まで上がれる
・中腹にある「マナスル山荘(ヒュッテ入笠)」が有名
・例年12月~3月は積雪期
「入笠山」は長野県南部にあり、伊那市と富士見町の境に位置しています。広大な入笠湿原があり、夏期は花の名山としても人気です。
山頂は360°の展望が広がり、南アルプス・中央アルプス・八ヶ岳、遠くに富士山や北アルプスも眺められます。
また、「富士見パノラマスキー場」のゴンドラを利用することで標高1,800m弱から登り始めることができ、山頂までの累積標高差は280m、距離も往復4km程度と楽ちんです(この日は利用しませんでした)。登山道も緩やかな箇所が多いので、雪山初心者にはとてもおススメの山です。
<この記事は、2021年の記事を一部変更して更新しています>
駐車場情報
この日は「富士見パノラマスキー場」のゴンドラは利用せず、標高1,480m弱の「沢入登山口」から登りました。登山口前には無料駐車場とトイレがあり、約30台位は駐車可能だそうです。ただし、トイレは冬期閉鎖なので、事前にコンビニや道の駅で済ませてくることをお勧めします。
また、冬の早朝は道路が凍結している危険性があるので、スタッドレス装着で気をつけて運転しましょう。
【公共交通機関で行く場合】
残念ながら「沢入登山口」までのバスは無いので、富士見駅からタクシーで向かうしかないでしょう。なお、「富士見パノラマリゾート」までは「富士見駅」から無料バスが出ています。
この日のコース
沢入登山口 ⇒ ヒュッテ入笠 ⇒ 入笠山山頂 ⇒ ヒュッテ入笠 ⇒ 入笠湿原 ⇒ 沢入登山口
往復(周回)距離:7.8km 累積標高差:(上り)540m(下り)540m
標準コースタイム(夏期)は、往路1時間50分、復路1時間30分です。
※往復距離と累積標高差は概測です
※積雪時は夏期よりも時間がかかることが多いので、余裕を持った計画を立てましょう
沢入登山口 ⇒ ヒュッテ入笠
駐車場に案内図があるのでルートを確認しましょう。
駐車場の横に沢入登山口があります。
緩やかな階段道からスタート。この日は思っていたより雪が少なかったです。
つづら折りの道に変わります。その途中に『施設名 関係者以外立入禁止 富士見町長』と謎の注意書きの建物があります。施設名が書いていないので、何の建物なんだろうと思いますが、水道施設らしいです。
水道施設の先でつづら折りが終わり、「アカノラ山」を左から巻いて行くように登って行きます。「アカノラ山」は富士見パノラマスキー場のゴンドラ山頂駅がある山です。
入笠湿原手前で「法華道」と書かれた標識と分岐があります。左へ行くと入笠湿原を通らずに山頂方面へ少し近道できます。
今回は近道の方を選択。少し下った後に登り返します。
「サルオガセ」が沢山垂れ下がっています。友人はこれを見ると「とろろ昆布」が食べたくなるらしいです。
遊歩道のすぐ横には車道がありますが、冬場はマイカー通行止めなので車道を歩いて行く人も多いです。
「カゴメの森」。カゴメの工場が近くにあり、入笠山の山域の保全活動に参加しているそうです。
このシカゲートを通って進むと入笠山山頂方面へ少し近道です。ヒュッテ入笠(旧マナスル山荘)へ進む場合は、看板が出ているとおり車道をそのまま道なりに登ります。
「ヒュッテ入笠」に着きました。2023年に屋号を「マナスル山荘」から変更したとのこと。また、名物のビーフシチューの販売をやめ、その代わりに牛赤ワイン煮を販売しているそうです。ランチの時間にはまだかなり早かったので、先に山頂へ行ってから牛赤ワイン煮を食べにまた寄る計画。
ヒュッテ前にトイレがあるので、山頂に行く前に不安な人は済ませておきましょう。
ヒュッテ入笠 ⇒ 入笠山山頂
ヒュッテから入笠山山頂までの標準コースタイムは30分。
ヒュッテ前の駐車場。冬期間は車が入ってこないので、広いスペースがあります。ここでチェーンスパイクを装着。この日はアイゼンとワカンも持ってきていましたが、雪が少なく、ガリガリだったのでチェンスパがベストでした。
では山頂へ。
春~夏にかけてお花畑が広がるポイントも、冬期間はスキー場のゲレンデのようになります。ここでスノーシューやソリ遊びする人も。奥には八ヶ岳が見えます。
途中で「岩場コース」と「迂回コース」に分かれますが、「岩場コース」で登りました。どちらから行っても時間も大して変わりません。「岩場コース」の方がちょっと距離が短い分だけ急かな程度。
もうすぐ山頂。
入笠山山頂(標高1,955m)に到着。山頂は周囲を木々で囲われていないので、風が吹くと雪が飛ばされます。そのためあまり雪が積もりません。
そして、入笠山山頂は360°の絶景眺望が魅力です。
南アルプス方面はガスがかかっていました。そのため、その奥の富士山は姿が見られず。
八ヶ岳の雪の少なさが気になりました。
入笠山山頂 ⇒ ヒュッテ入笠 ⇒ 入笠湿原 ⇒ 沢入登山口
景色を堪能したので下山します。下山は「迂回コース」から。
再びチェーンスパイクを装着して、迂回コースをサクサク下りました。
お花畑エリアではソリ滑りしながら下りました。ベンチで景色を見ながらちょっと一休み。
踏まれていない箇所をよく見ると、結晶化している雪が積もっていました。
ヒュッテ入笠へ。ランチ営業30分前でしたが、早めに並んでおこうかと言いながら向かうと...まさかの光景が!
ランチ営業前に、牛の赤ワイン煮を使用したメニューが全て『売り切れました』の表示!これを楽しみにして初めて入笠山に来た友人は、かなりショックを受けていました(笑)
宿泊客分で全て無くなってしまったのでしょう。他のメニューにしようかと相談しましたが、営業開始までまだ30分...結局、下山してから麓でお昼を食べることにしました。ちなみに、他のメニューやパンも美味しいですよ。
ヒュッテではスノーシューやソリをレンタルすることができます。
ヒュッテ内に入る場合は、アイゼンやスノーシューを外し、バックパックを下ろして専用の置き場にしまってから入りましょう。入口前にも注意書きがありますが、よく見ずにバックパックを背負ったまま入店して注意される人を何度か目撃しています。
看板犬と戯れることも楽しみだったのですが、どうやら大勢の人に囲まれてストレスを感じてしまったようで、近づくのは禁止となっていました。
楽しそうに走っている「あじ」君を遠くから眺めて我慢しました(笑)
ヒュッテ入笠を後にし、湿原方面へ。これは山彦荘横のトイレ。
冬の入笠湿原はまるでスキー場のようです。ソリ遊びをする人たちが沢山いました。ソリ遊びって、大人になっても楽しいですね。
湿原をちょっとだけ散策。といっても一面雪に覆われているので、当然植物の観察はできず。
快晴の中、気持ちの良い雪上ハイキングを楽しめました。この後、往路と同じ道で沢入登山口へ戻りました。おしまい。
入笠山の感想
「入笠山」は、そのアクセスの良さと登りやすさ、山頂からの見晴らしの良さ等が魅力の雪山初心者におススメの山です。アイゼンやスノーシュー等のギアを試してみるのに適した環境が揃っています。
夏期は訪れたことがありませんが、色んな種類の花が沢山咲くらしいので、ぜひ行ってみたいと思います(そう思いながら何年も経っていますが...)。
ヒュッテ入笠の美味しい料理もとってもおススメなので、マナーに気をつけながら楽しんでください。
下山後に立ち寄った店
「ハルピンラーメン」
以前からずっと気にはなっていたものの、入店する機会が無かった「ハルピンラーメン」。今回「ヒュッテ入笠」の牛の赤ワイン煮を諦めた時点で、「下山してハルピンラーメンに行こう」という話になり、初訪問。店舗看板には「諏訪本店」とありますが、訪れたのは「富士見諏訪南IC店」。
ハルピンラーメン餃子セットを堪能しました。一緒に行った友人から聞いていましたが、思っていた以上の細麺に驚きました。クセになる美味しさでした。また行きたいです。
この日持って行った主な道具
Unigear 18本爪 チェーンスパイク
チェーンスパイクは軽量でコンパクトに収納でき、脱着もとても簡単です。しかも安価です。この日のコースは雪が少なく固かったので、下山時に滑ってコケないようチェーンスパイクを使用しました。
ペツル(PETZL) クランポン イルビス(IRVIS)
使用しませんでしたが、念のため持って行ったペツルの10ポイント長爪クランポン(アイゼン)です。後ろコバがあるブーツに対応。クランポンのベイルを交換することで、前コバのあるブーツにも対応できます。
前後にコバの無いブーツの場合はこちら。
ISUKA ゴアテックス ライトスパッツ
冬用のスパッツ(ゲイター)です。Gore-Texなので撥水力が高く、ロングなので靴への雪の侵入を防げます。ストレートデザインなので足元がすっきり見えます。
MAGIC MOUNTAIN 登山用 アルミわかん ラッセル2
これも使用しませんでしたが、ワカンも一応持っていきました。シンプルなアルミフレームのワカンです。ワカンはスノーシュー程浮力はありませんが、軽量なのと小回りが利くのがメリットです。
SHOWA GLOVE TEMRES 02 winter ブラック
作業用グローブで実績のあるショーワグローブによるアウトドア防寒グローブ。安くて防寒性に優れています。