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噴火から9年経つ木曽の「御嶽山」へ(黒沢口から中の湯コース)

御嶽山(おんたけさん)

・標高:3,067m(剣ヶ峰)

・所在地:長野県木曽郡木曽町・王滝村、岐阜県下呂市・高山市

・日本百名山、新日本百名山、花の百名山

・山岳信仰の山としても有名

・ロープウェイで7合目まで上がることができる

 

木曽の「御嶽山」は、登山をしない人にも知られている山の一つでしょう。最高地点は3,000mを超え、そのどっしりとした台形上の独立峰は遠くからも目につきます。山岳信仰でも有名な山です。

でも一般の人々にも知られるようになったのは、2014年に発生した噴火で多くの犠牲者が出たからでしょう。”日本における戦後最悪の火山災害”と言われるこの噴火が発生した当時は、私はまだ山登りをしておらず、「大変なことが起こったな」と思いながらニュースをずっと見ていた記憶があります。

 

でも何故そんなに多くの人が登っていたのか、そこにどんな魅力があるのかを調べていくうちに、噴火前の写真や映像を沢山目にしました。そして、穏やかな時の御嶽山で見られる自然の豊かさ、広大な景色に心が惹かれました。不謹慎かもしれませんが、翌年から登山を始めるきっかけの一つになったのかもしれません。

 

昨年(2022年)に噴火警戒レベルが2から1へ引き下げられました。ただし、現在でも立入禁止となっている区間があります。

この日はまだ「王滝頂上」~「剣ヶ峰」間は通行禁止だったので、「王滝口登山道」は諦め、「中の湯登山道」から登ることにしました。

 

 

駐車場情報

「中の湯登山口(黒沢口6合目)駐車場」を利用しました。駐車場までの道路は舗装されていますが、ところどころ細い箇所やポットホールがあったりするのでご注意ください。

上の駐車場には50台位、下の駐車場には15台位は駐車可能です。トイレと登山ポストがあります。飲料自販機はありません。

なお、好天予報の祝日に登りましたが、上の駐車場は前日22時頃にはほぼ満車状態でした。

 

【公共交通機関を利用する場合】

木曽福島駅から町営バスが出ていますが、本数が少ないです。また、始発でもスタートが遅くなるので、健脚者でなければ日帰りには向きません。

 

この日のコース

中の湯登山口 ⇒ 行場山荘 ⇒ 女人堂 ⇒ 石室山荘 ⇒ 剣が峰 ⇒ 二ノ池山荘 ⇒ 二ノ池ヒュッテ ⇒ 賽の河原 ⇒ 白滝避難小屋 ⇒ 賽の河原 ⇒ 二ノ池山荘 ⇒ 石室山荘 ⇒ 女人堂 ⇒ 行場山荘 ⇒ 石室山荘 ⇒ 石室山荘

 

往復距離:11.3km 累積標高差:(上り)1,380m(下り)1,380m

標準コースタイム(夏期)は、往路4時間30分、復路3時間10分です。

※剣ヶ峰までの往復の場合は、往路3時間45分、復路2時間50分です。

 

※往復距離と累積標高差は概測です

※ロープウェーを利用した場合は、往路45分と復路35分短縮可能です

 

 

中の湯登山口 ⇒ 行場山荘 ⇒ 女人堂

入山情報が掲示されているので、立入禁止区域を確認していきましょう。登山ポストへ登山届を必ず提出してから登りましょう。

 

▼登山届はWebで事前提出することも可能です▼

 

トイレ横を進んだ先にある登山口からスタート。ちなみに5時位にスタートする予定だったのですが、かなり寝坊して6時半ごろのスタート(汗)

既に標高が1,800mを超えているので涼しい。

 

序盤から山岳信仰の山であることが強く感じられます。

 

この登山道、整備されていて登りやすいですが階段が多いです。滑りやすい階段もあるので、下山時は特に気をつけた方がいいなと思いました。

 

登山口が既に6合目なので、「行場山荘」のある7合目を目指します。

 

途中で「参拝休憩所」と書かれた建物がありました。今は営業していないのかな?

 

その裏には祠と鐘がありました。鐘を見たらつい鳴らしたくなります。良い音色でした。

 

ずっと階段。

 

「行場山荘」手前で、ロープウェーからの道と合流。

 

7合目にある「行場山荘」に到着。まだ扉が開いていませんでした。トイレはチップ100円(2023年時点)でお借りできるようです。

山荘横を通って先へ進みます。

 

山荘裏には神社?「覚明霊神」は恵那山、御嶽山を開山したと言われています。

 

途中で「百間滝(ひゃっけんだき)」へ通ずる道との分岐がありました(迷った挙句行かず)。

 

徐々に周囲の樹木が低くなり、日差しが照りつけます。もう汗ダラダラ。

 

8合目の「女人堂」に到着。

 

女人堂前にベンチがあったので休憩していきます。女人堂は売店だけでなく、軽食の提供や宿泊もやっているようです。

 

「女人堂」の前で景色を眺めながら休憩。北アルプスや浅間山なども見えます。

「御嶽山」山頂方面。

 

ここから先が女人禁制だった頃は、女性は男性の帰りをここの小屋で待っていたそうです。そのため「女人堂」と名付けられたそうな。

 

登山道案内図の横から「三ノ池」へ通ずるコースがあるのですが、立入禁止になっていました。帰りに利用しようと思っていたので残念。リサーチ不足でした…

 

 

女人堂 ⇒ 石室山荘 ⇒ 剣が峰

それでは先へ進みます。

 

「女人堂」から少し登ると、見晴らしの良いポイントがありました。

 

素晴らしい景色です。中央アルプスや南アルプスも見えます。

 

先ほど休憩していた「女人堂」。

 

沢山の霊神碑や神像が立ち並んでいます。

 

森林限界を超えて日差しが強烈に降り注ぎます。暑い。でも麓より涼しいか。

 

と思っていたら、しばらくしてちょっと曇ってきました。しかも風も吹いてきて、けっこう涼しくなってきました。ありがたや~。

 

新たに設置されたアンテナとスピーカー。

 

「石室山荘」と「覚明堂」も見えてきました。

 

「石室山荘」の手前で分岐があり、山荘経由で登る道と経由しない道に分かれます。せっかくなので山荘経由で進みました。

 

「石室山荘」は中を通って行ける珍しいシステム。せっかくなので通らせてもらいました(中は混んでいたので写真は割愛)。山荘では休憩や宿泊もできます。


「石室山荘」を出て、少し登ると「覚明堂」があります。

 

噴火時に多くの避難者を迎え入れた「覚明堂(かくめいどう)」。2015年で廃業されたそうです。

 

上に登るにつれて混雑してきました。小さなお子さん連れのファミリーが登っていました。体が小さいのに階段や岩場をひょいひょい登っているのが凄かったです。

 

分岐があり、左の山頂(剣ヶ峰)方面へ進みました。右へ行くと「二ノ池」「三ノ池」方面です。

 

「剣が峰」へ向かう途中、左手に「王滝頂上」が見えました。「剣が峰」~「王滝頂上」間が「八丁ダルミ」と呼ばれる区間で、この日はまだ通行禁止でした。2023年7月29日、9年ぶりに規制解除になる予定とのこと。

2014年の噴火時は、西側の地獄谷火口に近かったため、山頂付近と「八丁ダルミ」で多くの犠牲者が出たそうです。

 

標高も3,000mを超えてきて息が上がるので、気持ちゆっくり登りました。

 

山頂下のシェルター。中にはイスもありました。

 

右下にあるのは2014年の噴火で犠牲になった方々の慰霊碑です。合掌。

「剣ヶ峰」へは階段を登ります。

 

「剣ヶ峰」に到着。標高3,067mです。頂上奥社とシェルターもあります。

 

この日四つ目の鐘を鳴らしました。

 

山頂標識は記念撮影の長い列ができていたので、ちょっと空いた瞬間を狙って横からパシャリ(笑)

 

 

剣ヶ峰 ⇒ 二ノ池 ⇒ 賽の河原 ⇒ 白滝避難小屋

剣ヶ峰から眺める「一ノ池」(左手前)と「二ノ池」(右奥)。「一ノ池」は昔から水が枯れてしまっていたそうですが、近年では「二ノ池」も火山灰が溜まって水がどんどん減ってしまっているそうです。

 

山頂付近ではヘリコプターが何度も旋回していました。最初は誰か遭難したのかと思いましたが、火山活動の監視だったのかもしれません。

 

「剣ヶ峰」から下って、「二ノ池」へ向かいます。

 

事前に聞いていたとおり、「二ノ池」にも水があまりありませんでした。噴火前の写真を見るとコバルトブルーの広大な池が広がっていたのですが…

「二ノ池」のほとりを歩いた感じは、まるで海の砂浜を歩いているような感触でした。

 

「二ノ池山荘」に立ち寄りました。2019年に建て替えられたそうで、中はとてもきれいでした。

 

「二ノ池山荘」で冷えたコーラを購入。日差しが強い中でガツガツ登ってきたので最高にうまぁい!あと、御嶽山のバッジも購入。

 

「二ノ池」には奥にちょっと水が溜まっているだけでした。それも残雪がなくなったら消えてしまいそう…

標高2,908mにあるので”日本最高所の高山湖”と言われていますが、このまま水が無くなると、立山別山にある「硯ヶ池」にその座を奪われるとか何とか。

 

「二ノ池山荘」でトイレをお借りして(チップ200円/2023年時点)、「賽の河原」方面へ。

 

途中、かわいい案内板に誘われて「二ノ池ヒュッテ」へ。

 

「二ノ池ヒュッテ」。中に入ろうか迷いましたが、今回は外観のみ眺めただけ。

 

広大な「賽の河原」へ下りていきます。

 

「賽の河原」では止まらず進めとよく言われますが、写真を撮るためついつい立ち止まってしまいます。

日差しは強いものの、標高が高いので気温も20℃を下回っていました。風もそこそこ吹いていて、物凄く快適でした。

 

「賽の河原」を通過し、「白滝避難小屋」へ。

 

「白滝避難小屋」に到着。この後は「摩利支天山」と「飛騨頂上」へ行って、「三ノ池」のほとりまで行って~と計画していたのですが、ここでタイムリミット。

この時点でまだ11時頃でしたが、門限がありまして...寝坊したことを激しく後悔。

 

 

白滝避難小屋 ⇒ 中の湯登山口

というわけで、「白滝避難小屋」近くで景色を眺めて終着点としました。「三ノ池」はコバルトブルーに輝いていました。周辺の緑と相まって、とても美しい景色でした。

 

残念ですがここで帰ります。まずは「賽の河原」を経由して「二ノ池」方面へ。

 

「二ノ池」のほとりを歩いて、9合目の「覚明堂」方面へ進みます。

 

歩いている時に誰かが言っていた「富士山みたい」と。確かにちょっと似ている雰囲気はあるかも。

 

「石室山荘」付近から見下ろした景色。まだまだ沢山の人が登っていました。

「女人堂」が見えてきました。

 

「女人堂」で冷えたドリンクを購入して少し休憩。下山後に温泉へ寄りたいので、休憩はほどほどにして急いで下山しました。もちろん安全にね。

 

「行場山荘」。時間があまり無いけど、せっかくなので名物の「ちから餅」を食べようと思いましたが、財布を見たらお金が足りない!(笑)結局、諦めてそのまま下山。

 

ロープウェーへの道との分岐。今度このコースで来るときはロープウェーにしよう(笑)

 

営業している日があるのか不明な参拝休憩所。”八海山支店”とも書かれていましたが、本店があるのでしょうか?

 

色々すっ飛ばして駐車場に戻ってきました。終盤はほとんど無我の境地で下山しました(笑)

おしまい。

 

 

下山後に立ち寄った温泉

「代山温泉 せせらぎの四季」に立ち寄りました。赤褐色の温泉でした。きれいで清潔感のある施設で、食事も美味しそうでした(時間が無かったので食べていない)。

 

御嶽山の感想

「御嶽山」は以前から登りに行ってみたいと思っていたので、ちょくちょく情報収集をしていました。噴火警戒レベルが1へ引き下げられたことと、天気が良さそうだったこと、夏休みシーズン混雑が本格化する前に登りたいということで、急遽数日前に計画して登ってきました。

時間の制約があったのであまりのんびり散策できませんでしたが、それでも雄大な景色の広がりと三ノ池の美しさに心が癒されました。修験道であることを常に感じさせる霊神碑や神像の多さに驚きました。そして噴火の爪痕を目の当たりにして、改めて身が引き締まりました。

麓では真夏日の気温でしたが、登り出しが既に1,800m超えているので結構涼しかったです。ただ、森林限界を超えてからは日差しが強くなるので、日焼け防止など対策が大事です。自分は日焼け止めを塗り忘れて、後日脱皮しました(笑)

次回訪れる機会があれば、小屋に宿泊して「摩利支天山」「飛騨頂上」「継子岳」など今回行けなかった所も回ってみたいなと思います。

 

  

この日使用した主な道具

BlackDiamond(ブラックダイヤモンド) ハーフドーム

噴火警戒レベルが1に下がったり、シェルターが設置されたとはいえ、やはり念のため持っていきましょう。ヘルメットはずっと被っておくのが一番良いですが、そうでない場合はすぐに装着できるようバックパックの外に付けておくのがよいです。

 

東京ベル 森の鈴(BEAR BELL) 消音機能付

簡単にONとOFFを切り替えられ、カラビナもついているので便利です。音はガチャガチャしておらず、余韻の残る澄んだ音色です。